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「番組のコンセプトは『上』ではなくて『下』。人が目を向けないもの、目立たないものにこそ面白さがあるということです。『下を向こう』は、タモリさん的な表現ですが、金沢の近江町市場でもおいしそうなズワイガニには目もくれず、江戸時代の痕跡である道幅にこだわっていました」

 

こう語るのは、4月から新シリーズが始まった『ブラタモリ』(NHK総合)の中村貴志チーフ・プロデューサー。本誌記者も締切り徹夜明けの土曜夜7時半、眠たい目をこすりながら、なぜかチャンネルを合わせてしまう『ブラタモリ』。そんな『ブラタモリ』制作にまつわる疑問を、中村チーフ・プロデューサーに聞いた。

 

【Q】タモさんが訪れる場所は、どうやって決めるの?

「新幹線が開通したタイミングで金沢を訪れるなど、タイムリーな場所を心がけています。視聴者の方が、旅行をしたくなるような土地を選ぶのも大事な要素です。最新の富士山も当初の予定では麓周辺だけにしようかと。しかしあるスタッフの『山頂でロケしたことある』というひと言で、頂上を目指すことになりました」

 

【Q】本当はリハーサルをしているんでしょう?

「タモリさんには、その土地に来るまで、どんなテーマかまったく伝えていません。ロケ場所を伝えるのは数週間前。知識もあるし、ご自身で本を読まれているのかもしれませんが、取り上げるテーマを伝えていないので、勉強しようがありません」

 

【Q】専門家の先生が出す問題を、タモさんがあっさり答えるのは変ですよね?

「いえいえ。台本さえ見せないように気をつけているのですから、タモリさんが事前にわかるわけがありません。タモリさんが博識だからです」

 

【Q】オープニング・テーマのテレビを見ないで、どこかへ行こう的な歌詞は大丈夫?

「井上陽水さんから曲ができた(番組のオープニング・テーマ曲『女神』)、と聞いて初めて聴いたときに『えっ、今なんと言った……』と一瞬、思いましたが、でも面白いですよ。陽水さんはタモリさんと同郷で仲がいい方。テレビ番組で、ここまで言えるのは、お2人しかいないなと思いました。とくに上司から注意されることもありませんでした(笑)」

 

【Q】番組作りでいちばん苦労することは?

「地方ロケでは観光地を回ることも。そんなときは観光客の方々に囲まれて、ロケができないことも。とくに元気な修学旅行生たちに囲まれると、タモリさんの声が聞こえなくなっちゃいますので、奈良編では、東大寺を朝7時からのロケでなんとか混乱なく撮影することができました」

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