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「最後に父と話したのは亡くなる2日前、12月29日のことでした。『気分はどう? 頑張って』と声をかけると、『ああ、でももう治らないなぁ。(もうすぐ)逝くからね』と……」

涙をこらえながら、そう語ったのは女優で歌手の大場久美子(56)。大場の父・宣夫さんが12月31日に亡くなった。享年84。15年前から前立腺がんを患い、肝臓にも転移。昨年夏には『もっても今年いっぱい』と、余命宣告を受けていたという。1月7日、東京都内で通夜執り行われた後、喪服姿の大場は、父への感謝の思いを語った。

 

「父は私の芸能生活をずっと応援してくれました。劇団に通い始めたころから、父なりにレールを敷いてくれて……。オーディションにも付き合ってくれる、ステージパパだったんです」

 

大場は小学生時代、いじめにあっており、言いたいこともなかなか言えない内気な少女だったという。だが中学校に入学してから友人に誘われ、劇団に入ることを決意。娘の初めての強い願いを、母・タカ子さん(享年62)も父・宣夫さんも応援してくれた。日曜日ごとの劇団の稽古にも、宣夫さんは同伴してくれたという。その両親も、’99年にタカ子さんが死去、そして宣夫さんもがんで、昨年余命宣告を受けた。

 

「父はずっと、弟と同居していましたが、昨年11月に私の自宅に来てもらうことにしました “最後の親孝行”と、言って下さる方もいますが、まだ実感はできません……」

 

大場は11年5月に、10歳年下の会社員男性と再婚していた。父を呼び寄せたのは、夫や愛犬たちとで生活していたマンションだった。

 

「父と生活できたのは1カ月半ほど。わずかな期間でしたが、入退院もありました。時間が許す限り父に付き添い、励ますようにしました。あるときは1週間もほとんど寝ないで、父の隣のベッドで付き添ったり、シャワーを4日も浴びられなかったりもしましたね……」

 

大場にあったのは“私を女優にしてくれた父に恩返しをしたい”という一念だった。

 

「これまで父が私の手を握ってくれたことなんてなかったのですが、私の手を離さなかったこともあり、照れ臭かったですけれど、父との絆を感じましたね。父は『娘が1人いて良かったよ』と言ってくれました。私と父の希望ではありましたが、お医者さまからは『自宅で看取るのは大変ですよ』と言われていたんです。最後の会話を交わした後の2日間は、痛いのと怖いので、父は大声を上げたり叫んだり。そのたびになだめたり励ましたりしました。でも、父に聞こえていたかどうか……、会話にはならなかったのです」

 

大晦日の朝、宣夫さんは天国に旅立った。

 

「介護生活が終わったばかりで、頭が真っ白なんです。ですが父は、1月9日に行われる私のバースデーライブも楽しみにしてくれていましたから……」

 

9日、涙を浮かべながら熱唱する大場の胸に甦ってきたのは、中学時代、劇団の稽古を見守ってくれた、あの父の優しいまなざしだったに違いない。

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