《彼がこのような「地獄」に落ちなんとするまでに、私が手を差し伸べられなかったことを、私はいま御仏に深くお詫びしています》と本誌の問いにメールを送ってきたのは、高野山別格本山清浄心院の住職・池口恵観氏(79)だ。
清原和博容疑者(48)が2月2日に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されてから早や1カ月。現在保釈の話題が取りざたされているが、身元引受人がいないことから申請が難航しているという。そんな絶体絶命のなか救いの手をさしのべようとする人物として報じられたのが、池口氏だったのだ。
真言密教最大の荒行「百万枚護摩行」を達成した“炎の行者”として知られる彼は、政界に精通する“永田町の怪僧”とも呼ばれている。さらにはスポーツ界でも信者は多く、清原も99年末に「護摩行」へ挑んでいた。弟子の転落について聞いたところ、冒頭のようなメールを送ってきた池口氏。その後、改めて取材したところ、本誌にこう語ってくれた。
「最初に清原さんが私のもとへ修行に来たとき、彼を帰してしまった。あのとき『もう少しやりなさい』と言っておけば……。しかし一度でも私のもとで修業した以上は、私の弟子。だから最後まで見守ってあげたいと思います」
池口氏は修行のため全国を回っている。そのため定住が求められる身元引受人にはなれないが、彼が保釈できた暁には更生を支えたいという。
「炎の前で護摩行をやれば、体の奥底から汗が出て薬物などの悪いものが全部出て行くでしょう。また私の寺の本尊である不動明王は“地獄に落ちようとする者をその寸前で救い出してくれる”とされています。だから清原さんが救われるためには、もう一度私のもとに戻って来て護摩行をやるしかないと思います。私はこれまで薬物使用で逮捕された人の更生を4人手伝って来ましたが、みな社会復帰した。だから清原さんも必ず救えるはず」
かつての弟子へ届ける17年目の護摩行指南。そこには、池口氏の強い思いもあるようだ。
「清原さんは、今回、いろんな人を裏切ることをしました。支えてくれた人や、元奥さん、そして何より子どものためにも、努力して信頼を取り戻してほしい。彼は野球の世界でトップスターになった人。その陰では、大変な努力があったはずです。だから苦しい修行にも、きっと耐えられると信じています」
地獄から這い上がる。その苦難の道にたらされた一本の糸を、清原はつかむことができるのだろうか。