とと姉ちゃんの第9週(5月30日〜6月4日)は、常子(高畑充希)は、タイピストとして文具会社に就職したものの、早乙女(真野恵里菜)ら女性社員たちの嫌がらせを受け、一向に仕事を回してもらえない。男性社員から膨大な書類の整理を任された常子は、冷ややかに見つめる同僚を横目に、取引先ごとに整理をし始めて……。

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常子は、タイピストとして文具会社で働き始めたが、女性社員のリーダー・早乙女の思惑もあり、仕事を回してもらえない日々が続いていた。一方、帝大生の星野(坂口健太郎)は急に常子を意識し始め、会話はしどろもどろ。しかし、肝心の常子はその真意に全く気づかない。そんな折、職場で、男性社員が書類整理を手伝って欲しいとタイプ室に駆け込んでくる。ほかのタイピストたちの沈黙する中、常子だけが手を挙げる。女性社員たちに白い目で見られながら、常子は初めて依頼された仕事に一人で取り組み始める。

 

始めて仕事を任された常子は、心配する君子(木村多江)やまつ(秋野暢子)たちをよそに、一睡もせずに書類をまとめる。あとはタイプライターで清書するだけという段階まできたところでタイプライターを使おうとすると、ほかの業務に支障がでるからと早乙女に使用を禁止される。早乙女は、男性職員の頼んだ仕事は雑用の押し付けであって、我々が受ける仕事ではないと主張する。〆切まであと数時間。常子は、万年筆を取り、手書きで清書し始める。何とか間に合わせた書類を持って、男性社員の所に駆け込むと、「置いといて」とそっけない態度。常子は驚き、がく然とする…。数日後、別の男性社員が常子に資料作成を頼みに来る。断り切れず、雑用を引き受ける常子。だが、それは、早乙女たちが守ってきた秩序や誇りを台無しにする行為で、上司の課長・山岸(田口浩正)から、手書きを禁止されたこともあって、常子はさらに窮地に立たされる。早乙女たちは、男性社員の不当な言い分を跳ね除け、正確な業務をこなすことで、タイピストとしての女性の地位を保持してきたのだ。男性に見下されまいと振る舞う早乙女たちと、雑用係としてしか女性を見ない男性社員たち。常子は、男女がいがみ合う職場でどう振る舞うべきかと悩む。そして、その答えを求め、滝子(大地真央)のもとを訪ねるのだった。

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滝子は、男だらけの青柳商店を女将として取り仕切っている。「困っている人は助けるべきだと思うのだが」と悩む常子に、滝子は「この世は所詮、男と女しかいない。だったら上手くやっていくしかない」ときっぱり。迷いが吹っ切れた常子は、男性からの仕事を快諾するようになる。早乙女に止められると、「雑用でも必要とされるのであれば受けるべきだ

と反論する。諦めずに手伝っていれば、いつか女性も評価を受けると力強く説得する。怒った早乙女は、山岸を押し切り、再び禁止令を出させようとすると、そこに、部長の佃が現れる。「この書類を清書したのは君か?」と問う佃は、常子の丁寧な仕事ぶりを労う。早乙女も、部長を前に反論できず、タイプライターの使用を認める。それから3週間、ついに、常子が待ち望んでいた給料日がとうとうやってきて…。

 

初任給を得て、常子は滝子に学費の一部を返済する。滝子から「自分で稼いで家族を養う。名実ともに一家の大黒柱だ」と言われ、喜ぶ。すき焼きの肉を買って森田屋に帰るのだが、まつの気遣いで、その日は、家族だけで夕食を取ることに。仏前に給料袋を供え、竹蔵(西島秀俊)に報告する。常子はこの機会に、ととが作った家訓「月に一度皆でお出かけをする」を復活させたいと申し出る。そして、一年が経ち、昭和13年4月。鞠子(相楽樹)は大学に無事合格。美子(杉咲花)も女学生になった。三姉妹はそれぞれ新たな道を歩き始めることになる。

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時は、昭和14年9月。第二次世界大戦が始まり、国が決めた価格でしか売買できない「価格統制令」が施行される。世の中に暗い影が落ち始める中、常子は、タイピストとなって一年半、確かな戦力として認められるようになっていた。鞠子は大学の文学研究会で充実した日々を送り、美子も得意の裁縫の腕前を発揮し、青柳で重宝される存在となっていた。そんな中、毎週甘味処で互いのことを報告してきた帝大生の星野(坂口健太郎)は、常子にある想いを伝えられずにいた。その帰り、二人は突然男に呼び止められ、不謹慎だととがめられてしまうのだが……。

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10週(6月6日〜11日)は、タイピストとして確かな収入を得られるようになった常子は、かつて父・竹蔵が作った家訓、「月に一度お出かけをする」を再開することに。しかし、鞠子も美子もお年頃。それぞれに忙しくなり、二人ともあまり乗り気でない。そんな折、美子は滝子から奉公人たちのお仕着せを仕立てるのを手伝ってほしいと頼まれる。しかし、その日は常子が決めたお出かけと重ってしまい……。

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