「直近のお仕事では、6月27日に放映の『居酒屋もへじ―母という字―』(TBS系)に出演しています。私が演じる『川上遥』はバツイチで、小学校3年生の一人娘を女手ひとつで育てていますが、娘との関係がうまくいかなくて人知れず思い悩んでいます。娘との関係がギクシャクしているのは『お母さんは仕事が忙しくて、私と一緒にいてくれない』から。私にも『遥』の娘と同じ年ごろの女の子(9)がいます。私の場合、おかげさまで娘との関係は良好ですが、『遥』の悩みは私が日ごろ抱えている悩みとほとんど同じですね」
そう語るのは、宝塚歌劇団雪組のトップスターだった一路真輝(51)。2006年に俳優・内野聖陽(47)と結婚。同年長女が誕生したが、2011年に離婚。シングルマザーとなって5年になる。
「娘は家から徒歩で通える公立の小学校に通っています。これは5年前の東日本大震災のことが頭にありまして。大地震が起きたとき、高校から帰宅途中の甥と一時連絡が取れなかった。それがあって、絶対に歩いていける学校に通わそうと思いました。私はとても心配性ですが、母親としては“放任ママ”のところもあります(笑)。もちろん人間として基本的な――たとえば『人様にご迷惑をかけてはいけない』ということは教えていますが、もうひとつ『ママはあなたに隠し事をしないから。あなたもママに何でも話して』ということは、小さいころからずっと言い聞かせてきました」
親子で何でも話し合う――そんな関係から、思わぬ言葉を長女からかけられることもあるという。
「私の演技に、娘からダメ出しされることもあります。今年のゴールデンウィークに舞台の稽古があって、娘を稽古場に連れていきました。そのとき、私が子供からプレゼントをもらう場面で、演出家の方から『一路さん「ありがとう」をもう少しうれしそうに言ってください』とダメ出しされたんですね。それを娘が見ていて、家に帰ったら『ママは、私が何かあげてもそんなに喜ばないじゃない。だから、ああいうことを言われるの』と。要するに『ダメ出しされるのは、日ごろの感情表現が足りないからだ』と叱られました(笑)」
だが、そんな長女の存在が、実は彼女の女優としての支えにもなっているという。
「役のことで悩んでいるときに、娘のひと言で助けられたこともありましたし、彼女と会話しているとすごく楽しいですね。同時に彼女との“つながり”を感じます。娘は、私が女優であることが好きみたいで。彼女が『さびしい』とか『つらい』と言ったときに『じゃあ、ママ、お仕事辞めようか?』と言うと、泣いていやがります。思うに、私が女優をしていることが、娘にとって誇りであり、自分が母親の力になっていると思えることがうれしんでしょうね。極論すれば、これが私たち母子の“絆”のような気がします」