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不倫騒動から3カ月、6月23日に仁美夫人(37)との離婚危機が報じられた乙武洋匡氏(40)。一部報道によると、原因は今回の“再出発”にあったという。乙武氏は先天性四肢切断という重度の障害を抱えており、生活全般に介助が必要。そのため騒動前の乙武氏は妻に負担をかけないよう、帰宅が遅くなる際は住み込みのボランティアスタッフがいる事務所に泊まる“半別居”生活を送っていた。だが今回不倫が発覚したことで、乙武氏は自宅に戻ることを決意。すると3人の子育てや家事、そして夫の介助まですべての負担が仁美夫人にのしかかるようになり、夫婦が築いてきたバランスは崩壊。限界を感じた妻から離婚を視野に別居を申し出たというのだ。

 

このニュースは世間で大きな話題を呼び、様々な波紋を広げた。一般家庭でも定年退職した夫が四六時中家にいるようになり、ストレスで熟年離婚に至るケースも多い。そのため「乙武離婚騒動は他人ごとではない」と捉えられているようだ。夫妻の離婚報道を取り上げた『とくダネ!』(フジテレビ系・6月23日放送)でも議論に発展。改めて夫婦のあり方を突きつけた今回の騒動について、雑食系恋愛ジャーナリストのおおしまりえさんは、こう語る。

 

「乙武夫妻が長年かけて築いてきた“半別居”という形。それが夫婦にとってベストな距離だったのに、不倫バッシングを受けたことで無理に世間から見た“正しい夫婦”になろうとした。その結果、家族のバランスを崩してしまったのではないでしょうか。実は話題になっていませんが、ひそかに『別居婚』や『別居子育て』などの家族形態が増えているといわれています。共働きやシングルマザー家庭が珍しくない昨今、こうしたかたちが理想だと捉える夫婦も多いようです」

 

いずれも王道の結婚生活からはみ出しているといえるが、彼らはみな働き方や個人的な事情からあえてそうした形を選んでいるという。

 

「芸能界でも最近、梅宮アンナさんの別居子育てが話題になりました。両親と娘が実家に住み、自分は近所に部屋を借りて週の半分だけ子育てに取り組むというものでした。私のまわりにも経営者と士業のご夫婦などは互いの開業場所が異なるため、どちらかの拠点に移すことなく別居婚を選択しています。そして今も良好な夫婦関係を築いています。つまり、本人たちにとってベストな“家族の距離”というのは、みなそれぞれ違うのです。『寝食をともにし、常に支え合うのが夫婦』といった“いかにもな価値観”が、ときとして夫婦の心地よい関係を壊す要素になりえる。それが今回の乙武離婚問題の本質だと思います」

 

また16歳でイタリアへ渡り、ポルトガルやシリア、アメリカなど世界を転々としてきた漫画家・ヤマザキマリさんもこう話す。

 

「私のイタリアの友人のなかには、別居中のカップルが何組もいます。同性婚が多いアメリカでは“両親がともにお母さん”というのも当たり前ですし、ブラジルやキューバに行けば『5人目の奥さんです』と紹介されることもあります。こうした夫婦や家族が特別視されないのは、基本的に“自分たちが幸せならOK”と感じているから。家族のあり方は、多面的なんです。我が家も、夫は研究職で私は漫画家。一緒に暮らしているとサラリーマン家庭よりずっと顔を見て過ごしますし、仕事が忙しくなるとぶつかり合うこともあります。でも私が日本とイタリアを行き来することで、当たり前だった夫の存在を特別に感じたり一緒の時間を大切に過ごせたりするようになりました」

 

肩肘張ることなく、海を隔てた半別居生活を実践。それがヤマザキ流なのだ。

 

「日本の夫婦のあり方は『いつまでも仲良く、子供のためにも離婚せず暮らすべき』という単一的なフォーマットがあるようで、窮屈さを感じます。しかも日本人は世間体を気にしすぎるので、別居や離婚といった“はみ出し”ができない。夫婦仲に問題があっても、我慢してしまう。でもそれでは夫婦の溝がさらに深くなり、修復不能になる可能性も高いのです。そもそも世間の言うとおりにしても、彼らは何も面倒を見てくれないし、責任も取ってくれません。だから夫婦で世間の常識に縛られず、自分たちが幸せだと思える生き方を優先する。それこそが大事なのではないでしょうか」

 

別居子育てによって消耗しない夫との新しい距離感を築いていく。それもひとつの、イマドキ夫婦の「幸せのバランス」なのかもしれない。

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