「夏に入ると体重がどんどん落ちて、素人目にも衰弱がわかりました。こちらの言うことに反応しなくなったり、話しているうちに眠ってしまったり。相槌も『ほう』『へい』『そうか』くらい。つとめて笑顔で世話を焼いている山本さんがふっと後ろを向いて、目頭を押さえている姿が健気でした」(舞台関係者)
往年の大スター・松方弘樹さん(享年74)が1月23日、脳リンパ腫のため永眠した。看取ったのは、30歳年下の内縁妻・山本万里子さん(44)だった。
最初の妻との間に1男2女、2番目の妻・仁科亜希子と1男1女、愛人関係にあった千葉マリアと1女をもうけ、計6人の子供に恵まれていた松方さん。だが、最期に立ち会ったのは山本さんと事務所関係者だけという寂しさだった。
東京・町屋の斎場で行われた密葬に参列したのは、実弟の目黒祐樹夫妻と、最初の妻との間の息子と娘、梅宮辰夫(78)と山本さんの6人のみ。昭和の大スターらしからぬこんな形の葬儀を選んだのも、山本さんだった。
「正直なところ、松方さんと万里子さんは金銭的には苦しかったはず。当初入っていた1日10万円の特別個室も、昨年夏には出て、一般の個室に移っていた。簡素な葬儀になったのもしかたがない。相続人となる6人の子供たち含め、みんなが“そもそも遺産なんかない”とわかっているよ。以前は森ビルが建てたという麻布の事務所兼自宅の高級マンションに月100万円以上払って住んでいたけれど、いまは家賃30万円にランクダウン。親の建てた京都の大豪邸もとっくに処分していたし、昨今では芝居や歌謡ショーの収入くらいしかなかったと思う」(前出・松方さんの知人)
かつて、ある仕事に際して関係者から「これで借金やツケを精算しろ」と数千万円を渡されたというが、
「関係者は“いずれ返してくれるだろう”と思っていたが、松方は“支度金”としてもらったと解釈して、返済する気もなく、すべて使ってしまったそう。ヘタに“遺産相続”なんかしようものなら、松方が残した借金まで背負うことになりかねないよ(苦笑)」(映画関係者)
3人の女性との間に6人の子供。最期をみとったのは30歳下の内縁妻。なのに遺産相続でもめそうにないとは、大スターの“人徳”か――。