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「たとえば『東京ラブストーリー』だと、人通りの多い表参道でのロケも平気でやっていました。当時は私もプロデューサーも脚本家もみんな若かったから、そんなむちゃなことも『やっちゃおう』で実現できたんですよ。そんな現場の熱気がそのままドラマに表れていたと思います」

 

そう語るのは、永山耕三さん(60・役員待遇エグゼクティブディレクター)。’17年4月に30周年を迎えるフジテレビのドラマ枠「月9」。永山さんはフジテレビ入社後、’86年に編成制作局へ。’90年代を代表する月9の『東京ラブストーリー』『ひとつ屋根の下』『ロングバケーション』などの演出を担当してきた。とくに思い入れが深いのはやはり’91年の『東ラブ』だとか。

 

「『東ラブ』は柴門ふみさん原作コミックのドラマ化です。原作を読めば、カンチ(織田裕二)とリカ(鈴木保奈美)が最終的には別れるってことはわかるわけですが、撮影中に女性スタッフの1人から『別れさせないで』って直訴されました(笑)。あんな経験は演出家として最初で最後ですね」(永山さん・以下同)

 

じつは永山さん自身も別れさせないことを考えたという。

 

「最後から3回くらい前を撮っているときかな、プロデューサーの大多亮に『このまま2人をいっしょにしたらどうか』と提案しました。でも大多は最初から『別れさせる』と決めていたようで、覆りませんでした(笑)」

 

『ロンバケ』(’96年)で瀬名(木村拓哉)と南(山口智子)が住んでいた隅田川沿いの古いビル。そのロケ場所を見つけてきたのは永山さんだった。

 

「撮影をしていることが周囲に知れわたってしまい、隅田川の対岸まで人だかりが。あんな騒動になるとは想像もしていませんでした。ちなみに『ロンバケ』のラストシーンはボストンという設定なんですが、実際の撮影地はロンドン。SMAPがロンドンでプロモーションビデオを撮ると聞き、便乗して風景の似ているロンドンで撮影することに(笑)。いまではいい思い出ですね」

 

この最終回の視聴率は36.7%(「月9」歴代3位)を記録した。

 

「すでにビデオ録画は普及していましたが、それでもドラマはリアルタイムで見る人が多かったんですよ。作っている側も、一度放送されれば消えてしまうものと感じていました。ドラマとの“一期一会”という思いが、あの視聴率を生んだ気がしますね」

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