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連続テレビ小説『べっぴんさん』の第11週のタイトルは「やるべきこと」。大急百貨店への出店が成功に終わったすみれ(芳根京子)たち。キアリスでは縫製や接客を手伝ってくれた仲間たちを招き、打ち上げパーティーが行われた。時子ら近所の主婦たちは、自分たちにもできることがあるのだと自信を持てたと言い、もっと上手く作れるようになりたいと語り、接客を担当した悦子(滝裕可里)は「この10日間は、未来への希望につながる時間だったような気がするわ」と礼を言うのだった。

 

「みんなとやったらできるかな」とすみれ。大急百貨店の大島社長(伊武雅刀)からの正式出店の話を思い返す。「できる」と笑顔で頷く良子(百田夏菜子)らキアリスメンバー。

 

いっぽう、すみれの夫・紀夫(永山絢斗)は、『大人のためのドレス作り教室・説明会』で司会を任されたが、極度の緊張のため仕事中に倒れてしまう。早退したと聞かされた同僚たちは、坂東営業部の今後を考えたら紀夫が社長では頼りないと不安を漏らす。

 

「ゆりさんはどう思いますか?」。社員たちから聞かれ、すみれの姉・ゆり(蓮佛美沙子)は戸惑いつつ「潔さんが社長になればいいのにと思っている」と答える。しかし潔(高良健吾)は「社長はあくまで紀夫くんや」と言ってきかない。

 

帰宅して、喜代(宮田圭子)から紀夫が倒れたことを聞くすみれ。頭から布団をかぶって寝ている紀夫を心配する。そして翌朝になっても布団に入ったままで顔を見せない紀夫に、「少し話を聞いてほしい」と声をかける。

 

すみれが大島から大急百貨店に支店を出さないかと誘いがあったことを報告すると、驚き、飛び起きる紀夫。話を受けようと思うと言うすみれの言葉に賛同する。「やりたいことがあるだけでもすごいことやのに、やりたいこととやるべきことが一致している。奇跡のようなことやな……」。そう言うと再び横になり、すみれから顔をそらすのだった。

 

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説明会での失態を恥じ、仮病を使って仕事を休み続ける紀夫。ゆりと潔は紀夫を心配するが、同僚の間での信用は地に落ちてしまう。状況を知らないすみれは会社を訪ね、大急にキアリスの支店を出すことになったと告げる。「奥さん、やり手やのに、旦那ときたら不細工なこっちゃ」。洋裁教室の説明会で、紀夫が緊張しすぎて失神してしまったことを初めて知るすみれ。

 

すみれたちは、縫製や接客を手伝ってくれた仲間たちにも大急へ支店を出すことを伝える。「もしかしたら、何年、何十年」という話を聞き、継続的に働けることを喜ぶ女性たち。明美の「開店は11月はじめやで、みんなで力を合わせて頑張ろうな」と言葉に、一同、力強く頷くのだった。

 

そんな中、すみれの父・五十八(生瀬勝久)から祖母のトク子(中村玉緒)が体調を崩しているとの知らせが届き、すみれたちは近江を訪ねることに。だが床で休んでいたトク子はすみれとゆりの顔を見るなり「夢を見てるんやろうか!」と驚き、「幸せやわ〜」と元気を取り戻すのだった。

 

「みんな元気そうやな」。娘ら夫婦と久しぶりに再会した五十八は、ゆりのアイデアで人気デザイナーによる洋裁教室を始めたこと、キアリスが大急百貨店に支店を出すことになったと知り、驚き感心する。「あの大急!? いやあ、すごいやん!」と驚嘆の声を上げる節子(山村紅葉)と静子(三倉茉奈)。五十八も「あのすみれがなあ」と相好を崩すのだった。そこで、五十八が紀夫に思いがけない言葉をかける。

 

「紀夫くん、今、苦しいか?」。喜代を通じて紀夫の近況を聞かされていた五十八は、何も言えずにうつむく紀夫にこう続けた。「男の人生いうもんは、背負うもんが増えてくる。妻や子供を食わせなあかん。大きな責任を持って生きていかなあかん。その分強くならな、大きくならな苦しくなるばっかりや」と。さらに自分もそういう分岐点に立ったときがいちばん辛かったと言い、人は辛いと思っているときは自分のことしか考えられないようになると続けた。

 

「強くなるために大きくなるために、変わらなあかんときがある。どっちに行くか、よう考えや」と五十八。紀夫はその言葉を噛みしめるように黙って頷く。

 

近江から戻った翌日、棚に飾られた家族写真を見つめる紀夫。五十八の言葉を思い返しながら、出勤の身支度をする。そして目を覚ましたすみれに「家族のためにも、会社のためにも、苦手なこともやり続けてみる。どんなことでも、コツコツと」と言うと、家を後にする。

 

キアリス大急支店の開業に向け、今まで以上に打ち合わせや商品づくりに追われるすみれたち。百貨店の担当の小山から渡された売上予測を見せら、これまでのようにミシン一台での作業では商品の数が追いつかないと感じていた。

 

ある日の屋台で、ひとりで飲んでいる紀夫に合流した勝二(田中要次)と昭一(平岡祐太)の話題もミシンの話に。坂東営業部のつてを使って1万円くらいで手に入るのではないかと話す紀夫に「お金のことは誰に聞いてもわからんでしょうな」と夫たち。大急に支店を出すとなったら、今までのような経理ではやっていけない。売上帳と在庫帳のつけ方を自分たちで教えると息巻く。「できた夫や!」。

 

紀夫は再び苦手な司会業にも挑戦し、懸命に自分を変えようとしていた。そんなある日、長年、家事や育児を手伝っていた喜代が腰痛を悪化させ、入院してしまう。苦手なことを克服しようと懸命に頑張る紀夫に負担をかけなまいと、すみれは仕事に加え、家事や育児も全て自分がこなしていくことを決意する。

 

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そんななか、夫たちの奔走のおかげでキアリスに新たなミシンが届く。「ありがとう」。妻たちから礼を言われ、満足しつつも照れる紀夫たち。そんな夫婦たちのやりとりを見ながら、武(中島広稀)は、自分も明美に礼を言ってもらえると期待するが、明美からは「2台とも君ちゃんの家に運んで」という指示の言葉だけ……。

 

大急支店の開業前日を迎え、売り場の最終確認を行うすみれたち。仲間たちは売り場を見て満足するが、すみれだけは納得できず、一人残って売り場のレイアウトをやり直すことに。その夜、夫の紀夫が家に帰ると、部屋は暗く誰もいない。心配した紀夫は慌てて商店街の本店や友人たちの家へ探しにいくが、すみれの姿はみつからない。

 

ようやくディスプレイが完成し、従業員用の出入り口から出ようするが、鍵がかかっていることに気づくすみれ。ドアを叩いても誰もいない。ついに館内は照明が落ち、真っ暗になってしまうのだった。いっぽう一睡もせずにすみれを待ち続ける紀夫。朝になり、館内の見回りにやってきた警備員に頼んで鍵を開けてもらったすみれは急いで家に帰る。玄関を開けると、紀夫はすぐそこに座っていた。「紀夫さん、ごめんなさい」と謝るすみれの頬を平手打ちする紀夫。何も言わずに寝室に入ってしまうのだった。

 

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そうして、いよいよキアリス大急支店の開店初日。店内は大勢のお客さんでにぎわい、初日にして予想以上の売上を達成する。夜になって店に顔を出した昭一らも売上張の金額を見て驚き、言葉を失う。しかし前夜の事件の影響で、すみれと紀夫の関係はギクシャクしたまま。

 

そんなある日、仕事と家事の両立で忙しい日々を送っていたすみれは、ついに過労で倒れてしまう。久々に休みをとったすみれだが、ある夜、娘のさくらから「お父さんのどこが好き?」と聞かれ、答えられない自分に衝撃を受ける。さらに娘のさくらが通う保育所のシスターからは、「子供のことをもっとしっかり見てあげてください」と話をされる。仕事で忙しい毎日を送るあまり、夫のことも、娘のことも、ちゃんと見られていない自分に気がついたすみれ。

 

そのころゆりは、自分が妊娠したことを潔に告げられずにいた。坂東営業部はゆりの提案で始めた洋裁教室が評判を呼び、東京のデパートからも教室開催の誘いの話が舞い込んだのだ。「ゆりのおかげや。さすが、わしの惚れた女や」と褒められても、「潔は働いている自分が好きで、子供ができて仕事ができなくなったら……」と不安を感じるゆり。ある日、近江を訪ね、節子たちの前でつい本音をこぼすのだった。「夫婦って、なんなんやろう」。すると、静子が私もその質問を節子にしたと言って笑う。

 

近江から神戸に戻ったゆりは、すみれの家を訪ねる。仕事にかこつけて近江へ行ったことを告げ、節子の言葉をすみれに言って聞かせる。「夫婦って、一蓮托生の身なんやって。死なばもろともの仲なんやと思えば、考え方が“自分”やなくて、“自分ら”になる。家族って、そうやって作っていくんやって」。

 

ゆりは、坂東営業部に戻ると、子供ができたことを潔に報告する。「ほんまか? わしの子が生まれるんか?」とゆりの顔を見つめると、机の上に正座するように座り、ゆりの手を握る潔。「ゆり、ありがとう、ありがとう!」と感激して涙を流す。潔の反応を心配していたゆりも、安堵し、微笑むのだった。

 

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3日間の休暇を終え、出勤したすみれ。自分が休んでいる間、明美がすみれの代わりに大急との打合せをしたと聞き、悦子ら販売員も君枝の家で縫製を手伝う時子たちもみな、やりがいを持って仕事をしていることを目の当たりにする。

 

その日の夕方、キアリスで帳簿を確認する紀夫たち。深刻な顔をして店の入り口に立つすみれに、「どないした?」と明美が声をかけると、すみれから思いもよらない言葉が。「明美さん、君ちゃん、良子ちゃん。お願いがあるの、キアリスを辞めさせてください」。紀夫たちは驚き、そろばんの手を止める。

 

「私がいなくても、みんななら絶対に大丈夫やと思う。だから、自分勝手なことやけど、お願いします」と涙を流すすみれ。キアリスのメンバーは何も言えない。紀夫もうつむいたまま……。

 

 

第12週の『べっぴんさん』は、キアリスを辞めると決めたすみれは、着々と仕事の引き継ぎを進めていく。引き止めたい気持ちはあるものの明るく送り出そうと決める明美、良子、君枝ら仲間たち。すみれはキアリスでの最後の仕事として、ベビー相談室で書き留めてきたお母さんたちの悩みやその解決法をまとめ、キアリスガイドとして冊子にして配りたいと提案する。すみれが抜けたあと、キアリスでは君枝が百貨店での打ち合わせに出るようになるが、クリスマス商戦に向けた目玉商品を用意するように言われ、頭をかかえる。一方、潔は子供をみごもった妻のゆりに突然家出をされてしまって……。

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