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連続テレビ小説『べっぴんさん』の第13週、すみれ(芳根京子)はキアリスに復帰し、夫の紀夫(永山絢斗)はキアリスの経理担当となり、新体制で再スタートを切ったキアリス。すみれと紀夫は、大急百貨店の社長・大島(伊武雅刀)のもとに挨拶に行く。

 

完成した冊子「キアリスガイド」を手渡すと、「これを無料で?」と驚く大島。すみれは、「私たちの考え方を知ってもらえたら、それだけでも嬉しいんです」と話す。大島は、紀夫が坂東営業部を辞めてキアリスの経理を担当することになったと聞き、これを機にキアリスを法人化してはどうかと提案する。

 

キアリスでは、良子(百田夏菜子)、君枝(土村芳)、明美(谷村美月)のほか昭一(平岡祐太)や勝二(田中要次)も駆けつけ、店の法人化について話し合いが行われる。法人化にすれば信用も得られるし、資金が足りなくなったときに銀行から融資を得られると説明する夫たち。

 

働いてくれる人たちを社員として雇用できて安定した生活を保障できると聞いたすみれは、時子の言葉を思い出すのだった。「子供のためにも、手に職をつけて、女ひとりでもちゃんと生きていけるように頑張りたい」と。昭一が務める銀行から融資を受けることを決めるキアリスのメンバー。

 

ところが、社長を誰にするかが決まらない。良子や君枝はすみれがいいと言うものの、「無理よ、社長なんて」とすみれ。紀夫も経理に専念したいと辞退する。

 

そこへ、たまたま店にやってきた麻田(市村正親)を見て、「おった! おったで、でここに」と明美。実務に関わらない人で、貫禄もあり、見栄えもいいと昭一らも賛同。「そもそもあさやさんから始まったんやもんね、キアリスは」と君枝らに言われ、麻田は困りながらも、社長を引き受けるのだった。

 

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融資の話をするため銀行員が店を訪れるが、すみれたちは女学生のような振る舞いが抜けず、夫たちは心配を募らせる。「すみれちゃんと君ちゃんと、って、社会人やろうが!」と呆れる勝二。

 

とにもかくにも、キアリスは代表取締役に麻田、取締役に紀夫とすみれたちキアリスメンバーの4人、そして勝二と昭一も監査役として名を連ね、株式会社キアリス設立への準備が進められる。

 

ある夜の屋台で、紀夫ら夫たち男会は妻たちの愚痴大会に。会社となったからには、“君ちゃん”“すみれちゃん”などと、ちゃん付けはおかしいと勝二たち。「社会人のなんたるかを教えてやってください

と昭一も息巻くなか、武(中島広稀)だけは「楽しいしとることが、そげ悪いこっちゃろか?」とつぶやく。

 

さらに男会でもキアリスのような名前を付けようということになり、武も加えた4人それぞれの名前の頭文字を取り、「タノシカ(楽しか)」を結成することに。

 

株式会社となった初日、早朝出勤し、仕事を始める紀夫。しばらくして、出勤してきた4人に「では、朝礼を始めましょう」と声をかけると、今後、毎日朝礼を実施することやお互いを名字で呼び合うことにしようと告げる。紀夫の独断に戸惑うすみれたち。

 

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紀夫の提案で始まった堅苦しい朝礼を毎朝行うようになったキアリス。ある日、すっかりおなかが大きくなった姉のゆり(蓮佛美沙子)が遊びにやってくる。和気藹々と会話をするすみれたちを見て「ここは女学校やないと言うてますよね?」と不満顔の紀夫。

 

「ほんま窮屈やわ」。あさや靴店で休憩することになり、明美が不満をもらす。「思い込んだら、こう!っていうところがあるからね、紀夫さんは」とゆり。じつは、すみれたちに相談があってやってきたのだという。

 

出産前に肌着やおむつ、洋服以外にどんなものを揃えたらいいのか教えてほしいと話すゆりに、明美は、ベビー専用の布団やベッド、乳母車、ベビーダンスなどを外国人は用意していたと説明する。

 

「それでなくても大きいおなか抱えて歩くのは大変やのに、ひとつのところで全部そろえばいいのにね

とゆり。その言葉に、すみれは、キアリスを子どものものなら何でもそろう総合店にしようとひらめく。

 

キアリスに戻ったすみれは、さっそく君枝と良子にも相談する。「そんなお店があったらほんまに便利よ」と君枝。まずは子ども用の食器を作ろうと、スケッチブックにデザインを描き始める。帰宅したすみれは、折り紙などで食器の形を作り、娘のさくらに大きさや持ちやすさを聞く。そこへ喜代が紙粘土で食器を作ることを提案。すみれは紙粘土で食器の模型を作るのだった。

 

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翌日、君枝のデザイン画とすみれの作った模型を持って、さっそく工場まわりを始めるメンバーたち。外出していた紀夫が帰ってくると、店には4人の姿がなく、時子が代わりに売り子をしていた。武から工場回りに出かけたと聞き「何の?」と激怒する紀夫。

 

すみれたちが店に帰ってくると、夫たちが帰りを待っていた。言づけもせずに勝手にいなくなったことを紀夫に叱られたすみれたちは、子供用の食器セットを販売するため、陶器工場に行っていたことを報告。会社として、ベビーと子供のものが全てそろう総合店を目指すことを思いつき、まずは食器からやってみようと作ってくれる工場を探しに出かけていたと説明する。

 

「ええとか悪いとかやなくて、そないなことは動く前に相談してもわんと困る言うてんのや!」と紀夫。ところがすみれたちは、すでに工場と契約を結び、子ども用の食器を大量に発注していたという。「5000個?」。声をそろえ、仰天する夫たち。

 

「商売に絶対なんかないんや!」。経理状況を知らず「売れると思うから動いた」と言う4人を叱責する紀夫。社長となった麻田を訪ね、アドバイスを求める。しかし「すみれさんたちが売れる言うんなら、売れますやろ」と麻田。

 

さらに義兄の潔(高良健吾)に相談しても、商売はそういう感みたいなものは大事で、ベビーと子供用品の総合店なんてよく思いついたと感心する。そして困惑した表情をうかべる紀夫に、「気いつけや、石橋を叩いて渡ることも大事だけど、叩きすぎて壊れるいうこともあるんや」と忠告するのだった。

 

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そうして、食器セットの販売の話を進めることを認める紀夫。試作品を手に「素敵」「可愛らしい」と良子たち。キアリスオリジナルの食器セットは、販売を開始すると即完売して大成功をおさめる。

 

大急に商品を補充に訪れたすみれは、担当の小山(夙川アトム)に呼ばれ、大島社長のもとに向かうと、東京の「松島屋デパート」の催事担当者・矢部を紹介される。矢部はキアリスの品質のよさと食器セットを褒めると、松島屋の夏の特選セールに出品してほしいと頼むのだった。

 

紀夫はすみれを伴い、工場経営者の武藤(蟷螂襲)もとを訪れる。食器セットが完売したと報告すると、「そやろな、ええもんやからな」と答える武藤。紀夫は追加発注について、今後、定期的に発注するようになるため、1回のロット数を下げてほしいと交渉する。その晩、娘のさくらもリスが描かれた食器セットで食事をしながら、「可愛い」とお気に入りの様子。

 

その晩、すみれは勝手に食器を発注したことを紀夫に謝る。食器は完売し、さらに東京の松島屋からの出店の誘いなど「うれしいことがいっぱい

だと話し、しかし無邪気に喜べないすみれは紀夫に思いを訴える。紀夫の言っていることは正しいし、すみれたちは間違っていることも多い。しかし「ふつうの会社という形や枠に当てはめないで、私たちならではのやりかたを見つけられないかな?」と訊ねるすみれ。

 

翌朝の朝礼で、紀夫は、すみれたちに名前の呼び方は元に戻そうと告げる。喜ぶ良子たち。笑顔が戻ったすみれたちを見ながら、紀夫は、こういう4人を見守っていくのが自分の仕事だと気づくのだった。

 

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それから数カ月後、潔とゆりの新居が完成。ゆりは出産を迎えていた。リビングでそわそわ待つ潔と五十八。やがて元気な男の子が生まれ、名前は「正太」と名付けられる。五十八は「ええ名前やな」と微笑むのだった。

 

2017年1月4日から放送の第14週、紀夫や娘のさくらと一緒に近江の坂東家でお正月を過ごすすみれ。おめでたい元日になるはずが、そこには重々しい空気が。五十八と潔は、会社の経営方針で意見が合わず討論に。五十八の兄・長太郎(本田博太郎)とその息子・肇(松木賢三)も商売のやり方で対立した状態が続いていた。さらに五十八と長太郎が口ゲンカを始めると、すみれの祖母・トク子(中村玉緒)は声を荒げて二人を叱るが、無理がたたって倒れてしまう。

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