連続テレビ小説『べっぴんさん』の第25週、すみれ(芳根京子)たちは東京の銀座に空きビルを借り、子育てに必要な物ならなんでもそろうキアリスの「ワンダーランド」を作ろうと意気込んでいた。「ここで1日過ごせるの。キアリスにくれば、お買い物もできる、子供も遊べる、相談もできる、お友達もできる」とすみれ。キアリス銀座店のイメージ絵を完成させる。「みんなで子育てを共有できる」と明美(谷村美月)。良子(百田夏菜子)は「楽しいね、ほんまのワンダーランドやわ」と期待で胸を膨らませる。

 

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しかし君枝(土村芳)の夫・昭一(平岡祐太)が勤務先の銀行で必要な資金を調達できないかと動くが、オイルショックの影響で景気が冷え込んだこともあり融資は認められなかった。そんなとき、大手商社「KADOSHO」の古門(西岡德馬)から資金提供の申し出がある。「昔からキアリスさんには注目していました。何より魅力的なのは、キアリスさんの企業理念だ」と古門。

 

すみれたちは古門から資金提供の申し出を受け入れるかどうかで思い悩む。古門は栄輔(松下優也)がエイスを倒産させる元凶となった存在。しかし申し出通り資金を借りれば、自分たちの手で最後の夢をかなえることができる。

 

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銀座店出店について会議を開くすみれたち。創業メンバー4人は、今までの集大成でもある夢を諦めたくないと主張するが、健太郎(古川雄輝)は「銀行からの融資が受けられなかったということは、今のキアリスの身の丈に合っていないと判断されたこと。それを古門の力で何とかしようというのはキアリスらしくないと反対する。「背伸びせず、地に足をつけて、自分たちらしくやっていこうというのがキアリスなんやないですか?と健太郎。

 

そんな健太郎の言葉で、大切なことを忘れていたと気づかされるすみれ。紀夫(永山絢斗)と健太郎とともに古門を訪ね、資金提供の申し出を断る。古門は「戦争に負けたことをバネに世界に勝ちに行こう!」と息巻くが、「前を見て生きていきたい。勇気を持って、愛情を胸に、信頼する仲間たちと、希望に向かって」と答えるすみれ。四葉のクローバーの刺繍が入ったハンカチを握りしめる。そして「自分たちの夢は今叶えなくてもいいのだと言い、「いつか花開く日を信じて、目の前の木のゆっくりとした成長を見守ることも大事なんやと改めて気づいた」と語る。「それはそれで素敵な生き方だ」と笑う古門。

 

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ワンダーランドの件を通し、すみれ、明美、良子、君枝は、自分たちの思いが健太郎、さくら(井頭愛海)ら次世代のキアリス社員たちに受け継がれていることを確信し、キアリスを引退しようと考える。そして紀夫もまた同じ思いを抱いており、社長を引退することを決意する。雪の降る夜、これまでの自分たちの人生をゆっくりと振り返るすみれと紀夫。「キアリスは私の人生を大きく彩ってくれた」とすみれ。

 

同じころ、君枝も昭一に引退を告げていた。「私の人生、おまけのほうが長かったわ」と君枝。「生まれたときから体が弱く、いつまで生きられるかわからないと言われた自分が結婚し子供を生み、ましてや元気に仕事ができるなんて夢なのかもしれない」と。

 

そして良子も、世界の料理「レリヴィ」で勝二(田中要次)と2人語り合っていた。「こんなふうに勝二さんが作ったお料理を食べる日が来るなんて、あのころの私に教えてあげたいわ」と良子。女学生時代、15歳年上の勝二との縁談を不満に感じたことや、戦地から戻った勝二と息子の龍一と3人の暮らしが始まっても悩みが尽きなかったことを思い返す。「あとは、龍だけやわ。心配のタネは」。勝二の手を握り微笑む良子。

 

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すみれ、紀夫、明美、良子、君枝は、若手社員たちを前に正式に引退することを発表する。次期社長に任命された武(中島広稀)は驚き慌て、自分が社長でよいのか紀夫に訊ねる。「君の汗かく姿、君の人を見る優しい目、君のまっすぐなところ、惜しみなく次の世代に伝えてくれ」と背中を押す紀夫。いっぽう「男のための着こなし講座」をきっかけに取材や講演の依頼が来るようになっていた栄輔は、すみれたちが引退することを知り、明美を訪ねる。

 

「前に言うてたよな?家族を作りたくないって。わしも、その気持ちようわかるんや」。長年抱えてきた思いを告白する栄輔。戦争で家、工場、家族、すべてを失ったことはまだ辛いが、死ぬときに一人というのもさみしいと言い、「一緒に住まへんか?」と訊ねる。すると「それやったら家建てるわ」と即答する明美。栄輔は思いもよらぬ提案に驚くが、「わくわくしてきた」と楽しそうに笑う明美を見て同意する。「かわいらしいなあ」と栄輔。

 

キアリスを引退したものの、やることがみつからず時間をもてあまし気味なすみれたち。そんなとき、一人の女性が幼い子どもを連れてキアリス本社を訪ねてくる。すみれたちの下にやってきたその女性が持参した風呂敷を広げると、中から現れたのは28年前に店の看板代わりに作ったワンピースだった。「大事にお手入れしてくださったのね」と嬉しく感じるすみれ。

 

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美幸(星野真里)は幼いころに両親を亡くし、祖父と2人、さみしい毎日を送っていた。しかしあるとき、キアリスのショーウインドウに飾られているワンピースを見て、心が踊ったと振り返る。「寂しい女の子だった私にたくさんの自信をくれました。私にとっては、魔法のワンピースです。みなさんのおかげで、私は人の優しさも知りました」と涙をこぼしながら感謝の気持ちを伝えるのだった。

 

すみれたちが店を始めたころに手作りしたワンピースと28年ぶりに再会し、お直しをしたというエピソードが新聞記事となる。「創業時の4人のプロの手で、再度、息を吹き込んだワンピース」。するとその翌日から、キアリスの本社にお直し希望の大量の小包が届くように。「こんなにみなさん大事に持っていて下さったのね」と目を輝かせる君枝。懐かしい洋服を手に取り、4人はすべて直そうと楽しそうに話す。「みんなでまた集まったらきっと楽しいねえ」と良子。

 

退職したばかりのすみれたちだったが、キアリスに新しく「お直し部」を発足させ、昔作った服を直してさらに次の世代に受け継がせていくことを第二の人生で進めていこうと決意する。

 

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ある日、レリヴィで夫たちを伴い食事を楽しむすみれたち。ファッション評論家として講演活動をしている栄輔のことや、もうすぐ定年になる昭一の話題で盛り上がっていると紀夫がカメラを取り出す。「みんなの笑顔、たくさん撮ってください」とすみれ。その言葉に乗せられ、紀夫は仲間たちの姿を楽しそうに撮り始めるのだった。

 

いっぽう健太郎は、社長室に飾られたキアリスのワンダーランドの絵を見ながら、さくらとかわした約束の言葉を思い巡らしていた。「いつかちゃんとワンダーランドを作らなな」。

 

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後日、健太郎に招かれたすみれたち。阿部(上川周作)が扉を開けると、健太郎、さくら、武、中西(森優作)、明日香(大西礼芳)ら社員たちが勢揃いしていた。驚くすみれたちは、すっかり変わった店内を見回す。「ようこそ、キアリスのリトル・ワンダーランドへ!」。紙で作られた木に「カフェスペース」と書かれた看板、子供用のテーブルや椅子、絵本やおもちゃが並ぶ棚。小さいながらも、すみれ、良子、君枝、明美が夢見たワンダーランドが社員たちの手で作られたのだ。

 

「僕らもバトンを受け取ったような気がしました」と武。店舗のレイアウトとデザインを担当したさくらは、「私たちもまた、次の世代に思いを伝え続けられるようなものを作らなね」と微笑む。そして、「いつか必ず、ビックワンダーランドを作る」と宣言する健太郎に、4人は礼を言うのだった。

 

最終週(第26週)の『べっぴんさん』は、昭和59年3月。すみれ(芳根京子)は、月に1回のペースでキアリスに出勤。紀夫(永山絢斗)は趣味のカメラを片手に隠居生活を送るようになっていた。春休みに入り、さくら(井頭愛海)が10歳になった娘の藍(渡邉このみ)を連れてすみれの家を訪れる。藍は、春休みの間はすみれの家で過ごすのが毎年の恒例となっていた。そんなある日、すみれ、明美(谷村美月)、良子(百田夏菜子)、君枝(土村芳)は、健太郎(古川雄輝)に呼ばれ食堂「レリビィ」に集まっていた。そこで健太郎が取り出したものは、アメリカから送られてきた一通の手紙……。

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