(写真:アフロ)

「体調が悪そうに見えたのにカメラが回ると、女優・朝丘雪路に戻る。その姿を見て本当にすごいと思いました」と語るのは、映画監督の遠藤一平さん(43)。

 

4月27日に女優や舞踏家として活躍した朝丘雪路さんがアルツハイマー型認知症のため亡くなった。享年82。逝去が発表されたのは約3週間後だったが、これは生前の朝丘さんの意思だったという。

 

「まだ朝丘さんもお元気だったころ、夫の津川雅彦さん(78)やお嬢さんの真由子さん(44)と“終活”についても話し合ったのだそうです。朝丘さんは『自分の葬儀はひっそりと』とおっしゃっていたそうで、家族葬なども終わるまで逝去は公にされませんでした」(朝丘の知人)

 

アルツハイマー型認知症を発症したのは4~5年ほど前。’14年5月に撮影に臨んだ映画『プラシーボ』が遺作となった。前出の遠藤一平監督が朝丘さんの“最後の演技”を語る。

 

「役どころはヒロインの踊りの先生でした。撮影に入る直前に『ちょっと健忘症のようになっていまして……』とおうかがいしました。そこで朝丘さんのご体調を考慮し、撮影は3時間だけと決めたのです。しかし朝丘さんが『ご迷惑をかけて申し訳ないから』と、倍の6時間を割いてくださることになったのです」

 

浅丘さんはセリフを忘れないことに苦労している様子だったという。

 

「お付きの人が、演技をしながら読めるようにカンペ(※セリフを書いた紙)を用意してくれたのに、それを読むことすらつらいようでした。でも(役柄や状況の)雰囲気をいったんつかんでしまえば、アドリブを使っても芝居をつなげてしまうのです。カメラが回ると、まるで別人のようになる姿に驚かされました」

 

だが残念なことに、この遺作映画は“お蔵入り”状態なのだという。

 

「『プラシーボ』は’16年に完成しましたが、プロデューサーが失踪したために、いまだにきちんとした形で公開できていないのが、残念です」