水谷豊(66)主演の刑事ドラマ『相棒 season17』(テレビ朝日系)に登場したキャラクター”シャブ山シャブ子”が大きな話題を呼んでいる。
15.2%という高視聴率を記録した11月7日放送の第4話。公園のベンチで刑事が電話をしているシーンで、背後からハンマーを持った薬物依存症者の女性が登場する。女性は奇声を発し、刑事を撲殺してしまうのだ。
取り調べでは43歳の主婦なのに「シャブ山シャブ子です! 17歳です!」と絶叫。幻覚に取り憑かれたかのように髪を振り乱す怪演が《パンチが強すぎて怖い》《とにかく強烈》とTwitter上でも話題を呼んだ。Twitterではトレンド1位にもなり、多くのネットニュースでも取り上げられている。
しかし、この薬物依存症者の描写について専門家からは異論が相次いでいるのだ。
精神科医の斎藤環氏(57)はTwitterで《リアリティは欠片もなくただのゾンビ風演技》《露骨なヘイト表現》と批判。同じく精神科医の松本俊彦氏(51)もFacebookで《こんな患者に出会ったことはない》《偏見と差別意識を強化している》と強く非難した。
また『ギャンブル依存症問題を考える会』代表の田中紀子氏(54)は自身のブログで、作中で取調べ中の刑事が発する「本人の責任能力は問えない可能性があります」というセリフに言及したうえで次のように訴えた。
《薬物依存症はれっきとした精神疾患であり、懸命に治療に向き合っている人達がいます。薬物依存症者のご家族も、心労を抱えながらも前向きに生き、当事者の回復を願っています。にもかかわらず、薬物依存症者が平気で殺人を犯すような人物に描かれ、さらにそれが罪にも問われず、逃げ伸びているかのような演出は、いくらフィクションドラマだからと言って、看過してよいこととは思えません》
高視聴率と引き換えに、薬物依存症者への偏見を助長してしまうことになった『相棒』。テレビ局関係者もため息混じりに語る。
「先日NHKで放送されたドラマ『フェイクニュース』のように、エンターテイメントでありながら社会的な問題に切り込む作品が大きなトレンドになっています。そんな中で『相棒』が薬物依存症者をステレオタイプに描いてしまったのは非常に残念でした。長期シリーズですから、今後の作品内で薬物問題を正確に取り上げるなど、汚名返上に期待したいですね」