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元NMB48でタレントの須藤凛々花さん(22)が哲学者の道に進むべく、芸能界から引退しました。須藤さんといえば第9回AKB48選抜総選挙で、スピーチ中に結婚を発表。大炎上をきっかけにブレイクし、人気タレントの仲間入りを果たしました。そこから2年。22歳での引退ということで残念ではありますが、最近どうも芸能人が若くして引退や休止を決断する姿が目につきませんか。

 

最近では嵐の大野智さん(38)が「自分を見つめ直す」として活動休止を発表。また近年もアナウンサーの小林麻耶さん(39)や女優の堀北真希さん(30)、アイドルのももちこと嗣永桃子さん(26)など燃え尽きたのではないかと思われる芸能人がチラホラ。一般人の憧れであるはずの芸能界。その狭き門をくぐり抜けたはずなのに、どうしていま芸能人たちは燃え尽きてしまうのでしょう。

 

■芸能界の質が変わりつつある

 

そもそも芸能界という場所は、選ばれた者だけがいられる特別な場所でした。いい意味での村社会的な空気感があり、持ちつ持たれつといった、人と人との付き合いによって保たれている側面もありました。

 

しかし時代は変わりました。流行りのスピードは倍速になり、新しいモノや話題のモノは、どんどん消費されるようになりました。それは芸能人も同じです。テレビでは、わかりやすいキャラクターを求められ、分かりやすく話題やリアクションを提供できる人が人気となる。SNSの数字を芸能人としての価値に転換される。一芸に秀でていることよりも、テレビやSNSや自己プロデュースなど多岐にわたる器用な能力を求められるようになりました。

 

その波に乗れても乗れなくても、1年後にテレビで残っている保証はない。また自分をそういった状況に合わせ続けることは疲れを溜めていくだけでなく、“本来の自分”との乖離を感じることもあるでしょう。乖離を飲み込んで芸能界で仕事をしたとしても、大きな成功や長きにわたる成功が待っているかもわからない。「不安定な場所だから」で済ませてしまえばそれまでですが、芸能界は今や選ばれた人が生きるキラキラした場所ではなくなっているのかもしれません。むしろ器用さと運を持った人が、生き残りレースを続ける“サバイバル色が強い場所”になっていると思うのです。

 

■芸能人燃え尽きパターン5つ

 

燃え尽き引退する人、休止する人、活動の拠点を移す人。いろんなタイプがいると思いますが、実は燃え尽きる度合いによって5つのパターンがあると思っています。これは一般人の燃え尽き度合いにも言えることではないでしょうか。「最近疲れた……」と思っている人は、ぜひ自分の状態がどこにあるのか振り返りながら見てみましょう。

 

<危険度1:自己表現に走る人>
疲れると人はまず“自分とは”という問いを自らに投げかけがち。行為自体はとてもいいことですし、そこで天職や新たな趣味に出会えるなら御の字です。芸能界でも疲れたのか新たなキャラ付けなのか、自己表現に走る人が定期的にいます。なかには器用に二足のわらじを履いている人もおりますが、精神的な危険度は低め。ただし“自分とは”が見つからず、長期にわたって迷走する人も多いので要注意です。

 

<危険度2:独立ペースダウン>
自分とは……がわかった人もわからない人も、とりあえず自分のペースを取り戻したい。そこで取る行動は独立してのペースダウンです。最近では女優の満島ひかりさん(33)が自分のやりたい作品に集中したいといった理由から、独立しました。一般社会であれば、会社をやめて自分の力でやってみたいといった独立開業がこれに当たるかもしれません。ただこの選択、芸能人も一般人も無計画に行動すると上手くいかないことがほとんど。とはいえ「食えればいい。大事なのは自分のペース」と考えると、今の時代は良い選択かもしれません。

 

<危険度3:海外逃避組>
独立と同じくらいの危険度と思っているのが、海外へ活動拠点を移す人です。最近ではピースの綾部祐二さん(41)が、自分の道を切り開くためにNYへ旅立ちました。これもある種、疲れがもたらす自分探しの1つかもしれません。また定期的にハワイ移住をする芸能人がいますが、彼らの多くは疲れているのだな……と思って見ています。一般人に置き換えても特に独身者に多いのですが、突然ワーホリで留学をしたり、海外をふらーっと数ヶ月遊びに行く人もおり、羨ましい反面、疲れたんだな…と心配になったりします。

 

<危険度4:閉店引退 or 充電休止>
ここからが本当の“燃え尽きた”といえるゾーンかもしれません。無期限の休業や突然の引退宣言は、海外に行っても新しい自分を見つけても補いきれないくらいエネルギーが足りない状態を示唆しています。『心身一如』という言葉がありますが、人の心と体はつながっています。長年芸能界という場所で体を酷使した人は、上手くやれていたとしても心をうんとすり減らしています。須藤さんもここに当てはまるわけですが、こう疲れてしまうと一度長期的に休んだり、専門家のサポートに頼ったりするなどが必要です。

 

<危険度5:病気療養>
これを通り越すと、当然待っているのは病気による強制的な休業です。言わずもがなですが心と体を酷使し、休みを取る前に倒れる人は芸能界に限らず多くいらっしゃいます。こういった危機的状況になる前にも、いつも自分がどんな状態か。どんなサインが出ると危険か。把握しケアする習慣が必要です。

 

■哲学者というのは、一体何なのか

 

須藤さんの新たな一歩は応援したいものの、ふと疑問に思うのは「哲学者とはいったい何者なのか」ということです。もちろん世の中に哲学者と呼ばれる方々はいらっしゃいます。でもその多くが教授であったり作家であったりタレントであったり、哲学をテーマに別の活動をしている方々です。つまり須藤さんももし哲学者となり活動をするならば、やはり何かしらの伝えるツールが必要になってきます。そうなると彼女はまたタレントとして戻ってくるのではないか……というのが、目下予想できる見解です。

 

何はともあれまだ22歳。明るい未来しかない彼女の今後に期待したいものです。

 

(文・イラスト:おおしまりえ)

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