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「昔から百恵さんの生き方に憧れていたんです。あれだけのスターだったのに、引退後はほかのタレントのように中途半端に復帰したりしませんでした。自分の考えをしっかり持っている方で、すごく尊敬しています。その百恵さんの新しい本が発売されたと聞いて買いにやって来たんです」

 

そう語るのは、東京都内の書店を訪れた50代女性。彼女が持っていたのは購入したばかりのキルト作品集『時間の花束 Bouquet du temps』(日本ヴォーグ社)だった。

 

’80年10月に歌手・山口百恵として引退してから39年。いまは三浦百恵さんとなった彼女が刊行した著書が話題を集めている。結婚してから制作を始めたという70点ものキルト作品などを紹介した写真集で、本人の近影も掲載されているのだ。300万部を突破した自叙伝『蒼い時』刊行からも39年。百恵さんは決断の理由を、あとがきで次のように書いている。

 

《日々の軽い雑談の中で、夫にそんな話(※キルト作品集刊行を勧められたこと)をしたところ、「30年以上続けてきたことだし、還暦のいい記念になると思う。やってみたらいいんじゃない」という言葉が背中を押してくれました》

 

結婚して以来、自分の仕事を支えてくれ、2人の息子を育て上げ、さらに老親の介護にも励んでくれた妻。そんな百恵さんが還暦を迎えることについて、夫・三浦友和(67)も深い感慨を抱いていたのだ。友和は本誌のインタビューで次のように語っていた。

 

《60歳は妻にとっては母親が亡くなった年齢でもあります。それだけに60歳への思いが強いのか、すごく重く捉えているようです。 誕生日には何かしてあげようと思っています。息子たちもそのつもりでいるようです》(’19年1月1・8日合併号)

 

『時間の花束 Bouquet du temps』には、子供たちの手提げバッグや体操着袋なども掲載されており、作品のバリエーションの多様さ、そして込められた愛の深さには驚かされる。また著書では、百恵さんが“もう一つの針仕事”と呼んでいるビーズ織りとの出会いについても紹介されている。百恵さんはデパートで鑑賞したビーズ織りの作品展に感動し、自身も習うようになったという。いまも百恵さんを指導している佐古孝子さんが、本誌の取材に応じてくれた。

 

「百恵さんが、私の教室に通いたいと言ってくださったのは、もう15年ほど前のことでしょうか。月に1度のペースでマンツーマンでお教えしています。彼女は時間にも几帳面で、1度も遅刻したことがないのです。最初はアクセサリーをいくつか作り、慣れたころからハンドバッグなどに挑戦されるようになりました。特に色彩感覚に優れているのと、キルトもそうなのでしょうが、“自分が作りたいもの”よりも“作ってあげる相手が喜ぶもの”を優先しているような方です」

 

マンツーマン指導の2時間で、よく雑談もするという。

 

「ご家族のお話をされることも多いですね。ご次男が寮で生活している時期もあったそうですが、『これは息子が作ったお弁当なんです』と携帯電話の写真を見せてくださったこともありました。息子さんもお料理が得意なのだそうです」

 

いつもは自分で運転して教室にやってくるという百恵さんだが、ときには友和が送迎をしてくれることもあるようだ。そんなときは、まるで新妻のように少しソワソワした様子になるという。

 

「『今日は主人が迎えに来るんです』と、とても嬉しそうにされています。百恵さんもご主人を大切に思っていますし、ご主人も百恵さんをとても大事にされているようです」

 

ファイナルコンサートでは「皆さんの心を裏切らないように、精いっぱい、さりげなく生きていきます」と語り、芸能界を去った百恵さん。彼女は二度とステージに立つことはないが、これからも数々の作品に家族への愛情を“精いっぱい、さりげなく”注ぎ込んでいくのだろう。

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