映画にドラマにグラビアに……。今まさにノリにのっている女優の1人、沢尻エリカさん(33)。
2020年には自身初出演となる大河ドラマ『麒麟がくる』への出演も決定。会見では女優人生を振り返り、「失敗も挫折もしてここまで成長してやってくることができました。この約20年間、芸能界で培ってきたものや築き上げてきたものを作品に捧げたい。沢尻エリカの集大成をここで」と話して感涙する姿を見せました。
沢尻さんといえば「別に」発言からのバッシングが有名です。ほかにも電撃結婚や海外移住騒動などが話題となり、“お騒がせ女優”のイメージを強く抱かれていました。
しかし気づけばテレビやスクリーンで見ない日はないほどに“売れっ子”となった彼女。シンプルに女優としての実力と華があったからこそここまで上り詰めたといえますが、そこには彼女の魅力だけが関係していたのでしょうか。
■「沢尻エリカ」を振り返ると見えてくる、彼女の女優としての力
「別に」発言ばかりが光る彼女のキャリア。しかし改めてみていくと炎上騒動の前から女優として高く評価されていたからこそ、常にいろいろ言われるような対象になってしまっていたのかもしれません。それは彼女の経歴を振り返ると、よりわかりやすく理解できます。
01年に週刊ヤングジャンプ「制コレ」で準グランプリを受賞。それをきっかけにブレイクし、女優としてのキャリアをスタート。05年に映画「パッチギ!」で日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。演技力の高さに注目が集まり、その後もテレビドラマ「1リットルの涙」や「タイヨウのうた」などで続けざまに初主演。売れっ子女優として、数多くの作品へと出演を決めていました。
そんななか、07年に映画「クローズド・ノート」の舞台挨拶で不機嫌な態度とともに「別に」発言が飛び出しバッシングの嵐に見舞われます。一度は謝罪をするも、海外媒体ではそれを否定したインタビューも掲載。さらに彼女に非難が集まるカタチとなりました。09年には当時所属していた事務所との専属契約を解消。10年春まで芸能活動自体を休止し、高城剛氏と結婚。しかし10年に離婚の意志を表明し、13年に離婚が成立しました。
そして12年に映画「ヘルタースケルター」で映画復帰。日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞します。14年には深夜ドラマ「ファースト・クラス」で8年ぶりの地上波連続ドラマ主演。好調によりシーズン2が決まります。そして20年には大河ドラマ「麒麟が来る」に出演決定……となっています。
彼女のターニングポイントを探っていくと「別に」以前と以後、そして再スタート後の三期に分けることができるかもしれません。
炎上騒動のイメージが強いものの、実はデビューから評価を得るまではそう時間がかかっていません。もともとあるポテンシャルの高さがあの長きにわたって燃え続ける騒動へと繋がり、そしてその後の二転三転する自由奔放さにもつながっていったのではないでしょうか。
■最初の印象が悪いと、より評価が高まる「ゲインロス効果」
気づけば沢尻エリカという女優の評価は「昔はいろいろあったけど、今は丸くなっていい感じだよね」といった180度異なる好印象に落ち着いています。
復帰後に女優として結果を出していることが理由の1つですが、心理学的にも“一度評価を下げた人は、順当に評価されてきた人よりも評価を上げた際の印象が良くなる”といわれています。
これは、「ゲインロス効果」といわれるもの。人は第一印象が悪い相手の“いい印象を抱くできごと”に出くわすと、ただ漫然といい印象を抱いていた相手より高く評価する性質があるといわれています。
沢尻さんの場合は「別に」発言で大炎上を起こし、好感度を下げまくっていました。その後の高評価ですから、多くの人の中に「昔はやんちゃした人だけど、やっぱりいいよね」といった印象が根付いているのもうなずけます。
もちろん努力や実力、元の性格の良さがないと成立しないもの。ただ一度沈むと上がるのが難しいとされる芸能界で、このようなアップダウンを経験して評価された女優はそういないのではないでしょうか。
■ネガティブな印象を払拭した彼女が次に目指すものとは?
今やほんのり感じる気の強さすら武器と感じる彼女。来年の大河をへて、どのような進化を見せるのでしょうか。
女性自身では大河ドラマ出演に際し、8年越しの交際相手との関係を終わらせたといったスクープも報じられていました。その気合いの入りようにも注目です。
以前、雑誌インタビューでは理想の女優像を問われた沢尻さんは「こうなりたい、という女性像はなくて。それぞれの時代における、“最高の私”を目指していきたい。それが目標です」と語っています。
現在の彼女にとっての“最高の私”とは、どんな女性なのか。個人的には“いい子すぎる沢尻エリカ”は、そろそろ飽きてきたなあと思うこの頃。彼女の女優人生がどう変化していくのか。まずは映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」から、その姿を追いかけたいと思います。