東京都内のコンビニエンスストアで、“免疫力を高めることができる”と人気のあるヨーグルト飲料を数本買い込んでいたのはタレント・出川哲朗(56)だった。
本誌が彼を目撃したのは4月下旬。バラエティ番組には引っ張りだこの彼だが、緊急事態宣言が発令され、多くの番組が収録休止中ということもあり、のんびりとした表情を見せていた。だが彼の冠番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』を放送しているテレビ東京関係者は言う。
「5月6日に緊急事態宣言が解除されればありがたいのですが、どこまで期待していいものなのか。『この状態が夏ぐらいまで続くかも……』と、不安な声も上がっています。どのバラエティ番組も同じでしょうが、5月、6月くらいまでは、当時はカットされて放送しなかった未公開映像や、人気のあった回の映像を再編集してしのいでいくことになると思います。『充電』に関しては、いっそ開き直って、“これから番組でやりたいことを出演者で話し合って、その様子も放送したらどうか”といった提案も出ています。それにしても出演者たちがスタジオに集まれない状況が続くようであれば、盛り上げるのも難しいですよね」
それでも編集次第で、過去の映像も使うことができるバラエティ番組は、“まだマシ”なのかもしれない。ドラマ制作に携わるNHK関係者は、こんな嘆きを……。
「5月7日以降のために、いちおう仮の撮影スケジュールは組んでいます。ですが、特にエキストラを大勢集めるような大河ドラマのロケは、現実的には厳しいと考えています。またスタジオ撮影も、時代設定に合わせた大きなセットを組み、空きスペースが小さくなりますから、必然的に人と人との距離が近くなり、“3密”になりがちです。大河と朝ドラのスタジオは隣同士で、撮影時の廊下も人があふれてしまう状況です。撮影時間をずらしたり、台本を書き換えて、一つのシーンに登場する出演者を減らしたりするなど、“新型コロナ対策”をもろもろ検討はしているのです。しかし緊急事態宣言が延長され、撮影再開が遅れれば、かなり危機的ですね。穴が開くのが2~3週ぐらいでしたら何とか『エール』や『麒麟がくる』のダイジェスト版でつなぐことも不可能ではないかもしれません。しかし、それ以上となると、放送を一時中断し、過去作品の総集編などを放送しながら撮影再開を待つしかなくなります」
なんと7月ごろからは、放送中のドラマも“消えて”しまうことになるという。フジテレビ系の『SUITS/スーツ2』は、4月27日に放送される予定だった第3話以降を延期し、『コンフィデンスマンJP』を再放送している。朝ドラや大河も同じような緊急措置をとらざるをえなくなるというのだ。
いっぽうで“スタジオに集まることができない”という状況を、番組制作に活用しようという動きもみられる。ある制作会社関係者は言う。
「NHKは“リモートドラマ”の制作を発表しました。出演者たちが自宅などで“自撮り”した映像を使って、ドラマを展開していくというものです。脚本は厳選する必要がありますが、待ち時間や移動時間も必要がなく、出演者は撮影に集中でき、短時間かつ低予算で制作できるというメリットがあります。ただヘアメークアーティストを自宅に派遣するのは難しく、特に女優さんにとってはそれがネックになるかもしれません。逆にまだ売れていなくても、“素顔で勝負してもいい”という野心のある俳優にとってはチャンスになると思います」
低予算などの悪条件が名作を生むこともある。コロナ禍のなかでも、名ドラマや名企画、さらに名優たちが誕生すれば、視聴者を励ますことになるかもしれない。
「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載