――ご結婚おめでとうございます。

 

「ありがとうございます!」

 

――牧野さんをご両親に紹介したのは3月と伺っていますが、お母さまからはどんなお言葉を?

 

「そうですね。ふつうですが『おめでとう』と、言ってくれました」

 

――挙式や披露宴については検討中と報じられていましたが?

 

「実は考えていないんです」

 

きっぱりと答え、その理由についても語る。

 

「いちばんの理由は、こういった(コロナ禍という)時期だということです。皆さんに集まっていただくのも申し訳ないので、そう決めました」

 

屈託のない笑顔を見せると、深々と一礼し、祐太朗は歩いていった。

 

たとえ“逆境”にあってもめげず、動ぜず……。母の教えは、見事なまでに長男の血肉となっていた。

 

「女性自身」2020年8月18・25日合併号 掲載

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