「いつも実直で、仕事に対する姿勢は一生懸命な方でした。大事なセリフになると、必ずギュッと拳を握りしめていた渡さんの姿はいまも忘れられません」
本誌にそう語るのは女優・松原智恵子(75)。
8月10日に俳優・渡哲也さんは東京都内の病院で肺炎により逝去した。享年78。訃報が報じられたのは、逝去から4日後の14日夜のこと。
生前、渡さんは妻に「静かに送ってほしいから、自分が死んでも、葬儀などすべてが終わるまでは誰にも知らせないように」などと伝えていたという。その言葉どおり、お別れ会や偲ぶ会の予定もない。
渡さんはこの数年、肺気腫で苦しんでいた。だが日活映画時代の代表作である『無頼』シリーズ6作で共演した松原ら、親しい友人たちにも、闘病について詳しく語ることはなかったという。
松原が続ける。
「実は6月に浅丘ルリ子さんからお電話をいただいたのです。浅丘さんは『近いうちに、チーコ(※松原)もいっしょに3人でごはんを食べようよ』と、渡さんにご連絡したそうなのです。でも渡さんは、『いまは体調が悪くて無理だから、次の機会にまた誘ってよ』と、おっしゃったとか。
いつか3人で“日活同窓会”ができるかと楽しみにしていたのに、とても残念です。渡さんのことですから、『ごはんに行けなくてごめんね』と、頭をかきながら、私たちを見守ってくださっているような気もします……」
「女性自身」2020年9月1日号 掲載