以前の収入について湯浅さんは、
「最初のうちは、当時の最低賃金(’17年の神奈川県は時給956円)から始まりました。そこから徐々に時給が上がっていった感じです。多いときは週5で、シフトに入っていましたよ。
ホールでの仕事を経てからキッチンに入ってもらったんですが、たまに瑛人くんが皿洗いしながら歌ってたんです。当時からやっぱりいい声で、聞いてて素直に『うまいなぁ』って思いましたね」
夢を実現するために、バイト中も練習に励んでいたようだ。だが彼は店にとってかなりの戦力だったという。
「去年の12月ごろ、瑛人くんの勤務中に僕がちょっと用事で店を離れなきゃいけないときがあったんですよ。それで『悪いけど少しだけ一人で店やっててくれる?』って頼んだんです。用事を済ませ、店に戻るとお客さんが十数人も来ていて、それを彼が一人で回してくれてました。
自分でオーダー取って、ドリンク出して、ハンバーガー焼いて……。あのときは本当に感心しましたね。瑛人くんは元気があってハキハキしてて、根性もあります。見た目以上にたくましいコなんです。『香水』は失恋ソングですが、彼はいつもニコニコしてるし、けっこうモテると思いますよ」
さらに湯浅さんは瑛人のこんな一面についても語ってくれた。
「彼はあれで結構おっちょこちょいなところがあるんですよ。以前、お店のスタッフを連れてアメリカに研修旅行に行ったことがあるんです。そのときにロサンゼルスの大きなフリーマーケットに寄って、しばらく自由行動にしたんです。
ホテルに帰ったあと、瑛人くんに何を買ったか尋ねたら『これ買ったんすよ! めっちゃかっこよくないっすかぁ!?』って紫色の上着を興奮気味に見せてくれて。どこのブランドなのかなって見たら、服の胸元に思い切り“Women’s Soccer”って書いてあったんです(笑)。彼も私と同時に気がついたみたいで、2人して『これ女子サッカーのやつじゃん!』って(笑)」
いまはもう瑛人は店で働いていないが、それでも籍だけは残したままになっているという。
「シンガー・ソングライターは瑛人くんの夢なのでもちろん応援していますけど、やっぱり音楽の世界は波があるじゃないですか。だから帰ってこられる場所は作っておいてあげたいなと。いつでも戻ってこられるようにしてあります。
彼は本当に真面目で、純粋なコなんですよ。ブレークしてからも変わらないし、今でも店に食べに来て差し入れをくれたりもします。だから、紅白で成功してもらいたいし、次の曲も売れてほしい。どんどん有名になってくれたらうれしいですね」
『香水』がつないだ2人の絆はこれからも変わらないようだ。
「女性自身」2020年10月20日号 掲載