■「写真を飾らない選択肢は自己防衛の意味が」
母娘関係改善カウンセラーの横山真香さんは、彼女の変化をこう推察する。
「普通は大部分の人が故人の写真を飾ります。それが癒しになり悲しみを和らげることにもなります。しかし、心の準備もなく突然亡くなった場合、残された人は罪悪感を感じることが多いです。故人の写真を見て“助けられたかもしれない”と感じ負の意識が増殖してしまう。写真が自分の心理状態を映す“鏡”となってしまうのです。宇多田さんのように母への愛憎が強ければなおさらです。写真を飾らないという選択肢は自己防衛の意味があったのかもしれません」
宇多田は’15年7月に長男を出産してから、母との記憶を振り返ることが多くなったという。
「子育てしていくなかで出てきた数々の疑問を『こんなとき、お母さん、どうしてた?』と心の中で問いかけることが増えたといいます。疑問が解決したら“お母さんのおかげ”と感謝できるようになったそうです」(音楽関係者)
前出の横山さんも言う。
「宇多田さん親子のように、故人の写真を見て親子や友人で話すことが心の回復のプロセスとなり、心の安穏にもつながるのです」
母の写真を眺めながら長男と交わす会話は、宇多田にとってかけがえのない時間となっているーー。