■百恵さんがキルトに込めてきた“祈り”
そして、長男夫婦の妊娠報告をきっかけに百恵さんは“キルト人生の集大成”の製作に向けて動き始めていたという。
「キルト展終了で落ち込んでいましたが、お孫さんの報せを聞いたころから気を取り直し、最近ではお孫さんに贈るベビーキルトの製作に取り掛かっていると聞いています」(前出・三浦家の知人)
ひそかに出産祝いの準備を進めていた百恵さん。今年5月に発足した「一般社団法人日本キルト協会」に“ベビーキルト”について話を聞いた。
「一般的に赤ちゃんの“おくるみ”のことで、ミニキルトの110センチ四方よりは大きいサイズの物かと思います。キルトをやっている人では、身近な人の出産祝いとして定番で、お子さんの名前を手縫いで入れる人も多いです。デザインにもよりますが、キルトに慣れている人であれば、1カ月ほどで作れると思います」
次男の三浦貴大(36)を出産した2年後の’87年からキルト作りを始めたという百恵さん。これまで70作品ほど発表してきたが、そこにはいつも彼女の“祈り”がーー。
「貴大さんの海外留学が決まったころに作った作品の解説には『未来へ』といった言葉がつづられていました。’17年のキルト展では子供部屋用のベッドカバーを発表しましたが、これには“いつかは孫の顔が見たい”という願いがあったそうです。東日本大震災が起きた際は、それまで作っていたキルトを手直しして被災者への鎮魂を込めたといいます」(前出・キルト愛好家)
祐太朗が結婚した際、百恵さんは結婚祝いとして息子夫婦に7年前に製作していた純白のリングピローを贈呈。百恵さんのキルト作品集『時間の花束 Bouquet du temps』に掲載されたリングピローの解説には《いつまでも末永く仲良く幸せに、の気持ちを込めて》とつづられていた。