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今年も多くの偉大なスターが、たくさんの思い出をわれわれに残してこの世を去った。そんな故人と親交が深かった方から届いた、愛あふれるラストメッセージを紹介。題して、「偉大なるあなたへ、愛をこめて」ーー。

 

■千葉真一さん(享年82・俳優・8月19日没)へ。谷隼人(75・俳優)

 

千葉さん、どうしてですか? あれほど切磋琢磨して肉体を鍛えていた人が、こんな形で逝かれてしまうなんて。残念でなりません。

 

『キイハンター』(’68〜’73年・TBS系)で共演したのは、自分が東映に入社して3年目。メインキャストの丹波哲郎さん、野際陽子さん、千葉さんに付いていくだけで精一杯でね。

 

忘れもしないのは、自分にとって初の激しいアクション。ジープに乗っている僕らが追っ手から逃げる場面で、突然、「谷、飛び降りるぞ!」って千葉さんが。「こんな猛スピードの車から?」と怯みましたよ。でも、やるしかないじゃない(笑)。

 

その後、JACを設立し、後進を育成した人でしたが、俺にはなにも教えてくれませんでした。食事をご馳走になったこともない。それは、自分が高倉健さんの舎弟分だったからですよね。高倉さんが生きざまを見せてくれる人だとしたら、千葉さんは、自分の肉体で表現するということを見せてくれた、唯一無二の役者でした。

 

野際さんのことは、「お姉ちゃん」と呼んでいました。2人が結婚したときは心から喜んでね。いつだったか、宿泊先のホテルで野際さんの部屋を訪ねたら、扉が開いたときにさっと身を隠す人影が見えた。「あの俊敏な身のこなしは千葉さんだ! 出番のない千葉さんがここにいるってことは、2人は付き合っているの!?」と、そのとき初めて気がつきました(笑)。

 

「谷、『キイハンター』の続編をやろうよ!」。会うと必ずその話になりましたね。千葉さんが本気だったら、俺はなにがなんでも後押ししようと思っていた。そして、もう一度見たかったですよ、体でドラマを見せてくれる千葉真一を。今はそれだけが心残りです。

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