■「精神分析を受ける女性は、母親との関係に悩んでいる方が非常に多い」
宇多田は「人間活動期」の’12年、イギリスに移住。そして現地で出会ったイタリア人男性と再婚。その後、出産と離婚も経験した。移住してからすでに10年。そして、精神分析に取り組むようになったのも移住してすぐのことだ。
実は宇多田が精神分析にのめり込む背景に、’13年8月に急死した母・藤圭子さん(享年62)が強く影響していた――。
「生前の藤さんは長らく、精神の病いに苦しんでいました。感情や行動のコントロールが利かなかったこともあり、ヒカルさんは幼少期から悩んでいたといいます」(前出・音楽関係者)
一時期は連絡が途絶えていた藤さんから、急に連絡が来る機会が増えたのは10年前ごろだったという。自身のカウンセリングの必要性を感じた宇多田だが、受けに行ったカウンセリング当日に藤さんは急逝。そのカウンセリングに違和感を抱いていたこともあり、宇多田は読み始めた心理学の本を契機に、精神分析に多大なる興味を持つようになったという。
前出の小笠原氏はこう語る。
「精神分析を受ける女性は、母親との関係に悩んでいる方が非常に多いんです。精神的に母親からの支配を受けていて自由になれないというケースをよく目にしますね。そして、このコントロールは母親が亡くなっても続くのです。宇多田さんも藤さんとの関係を“いかに清算していくか”ということが、治療の焦点になっていたんだろうと思います」
宇多田は『VOGUE JAPAN』で“誰の期待を裏切ることが一番ハードだったか”という質問にこう答えている。
《私に歌を歌ったり、ミュージシャンになったりしてほしいと思っていた母親の期待ですかね》
《今になって振り返ると、母は私に音楽をやってほしかったんだなって感じます。彼女のことを理解できる人間になってほしかったんだと思います》