■「頑張ろうと思える何かを与えられたら」
松本の行動力に大きな期待が寄せられていると前出のNHK関係者も言う。
「大河ドラマの食事情には厳しい現状があるのです。撮影のために扮装しているので、空き時間に自由に食事に出かけることもままなりません。
そのためNHKでの撮影のときは局内の食堂がメインの食事スペースとなっています。
また野外ロケの際は周辺に飲食店が少ない場所で行うことが多いので、弁当がメインです。長期間そのような環境が続くので、以前までは主演クラスの方からの差し入れが頻繁にあったそうです。このおかげで、キャストだけでなくスタッフにとっても“撮影中の唯一の楽しみ”の時間になっていました。しかし、コロナ禍で差し入れがしづらくなってしまいました」
『GOETHE』’22年3月号のインタビューで、《一緒にいる人が少しでも頑張ろうと思えるような何かを自分が与えられたらいいなと思う》と語っていた松本だけに、食は譲れないポイントだったようだ。
「岡田さんや、小栗さんにも相談したみたいですね。
岡田さんは甘いものが重要だといって、バウムクーヘンなどのスイーツの差し入れを勧めたといいます。小栗さんからは、コロナ禍の差し入れ制限について伝えられたうえで、『冬場はカレーがよかった。季節柄も意識したほうがいい』とアドバイスされたと聞いています。
そこで松本さんはNHKと交渉し、コロナ対策を徹底したうえで、夏場には大好きな老舗蕎麦屋さんの協力を得て屋台を出したいと考えているそうです」(前出・NHK関係者)
自らの発想をスタッフに伝えたり、食事情を改善しようとしたり、NHK大河に新しい風を吹き込もうと奔走する松本。
スタッフや、視聴者を喜ばせるために汗水を垂らす彼には、早くも《人間は、最も多くの人間を喜ばせたものが最も大きく栄えるもの》との名言を残した家康の風格が漂い始めているようだ。