■「Wi-Fiが肌や身体にデメリットや悪さをもたらすという証拠は全くない」
そこで、Twitter上で指摘をした皮膚科専門医・やさひふ氏にも詳しい話を聞いた(以下、カッコ内はやさひふ氏)。
まず、Wi-Fiが肌にもたらす有害性は「現時点では科学的根拠はありません」と前置きした上で、こう解説してくれた。
「『Wi-Fiが肌に影響がないことを証明しろ』と言われると断言することは難しいのですが、Wi-Fiが肌や身体にデメリットや悪さをもたらすという証拠は、今のところ全くありません。そもそもWi-Fiは『非電離放射線』の部類で、レントゲン検査による放射線などのように被ばくの可能性がある『電離放射線』ではありません(参考文献1)。
また、日焼けの原因となる紫外線も『非電離放射線』のひとつではあります。もちろん“紫外線が肌に悪い”ということは、国際的にも統一的な見解が取れています。例えば、アメリカ皮膚科学会なども『日焼け止めは塗りましょう』と勧めています(参考文献2)し、『日焼け止めを塗ると肌の老化や皮膚ガンが減る』ということも過去の臨床研究で示されています(参考文献3-5)。しかし、Wi-Fiについては、世界保健機関(WHO)が『無線LANくらいの周波数から出るものが、身体になにか悪影響を及ぼすことは今まで認められていません』との見解を示しています(参考文献6)」
次に、ブルーライトが肌にもたらす有害性については、「これは現時点で意見が分かれていて、研究途上にあります」という。ブルーライト(青色光)は人の目で見ることができる可視光線であり、パソコンやスマホなどのLED液晶、LED照明に多く含まれている。
最近では、ブルーライトなどの可視光線が肌に悪影響を及ぼす可能性を指摘する論文もある(参考文献7,8)といい、研究課題には挙がっているという。しかし、実生活では悪影響を及ぼさないとする論文もあり(参考文献9)、肌への影響は確定的ではないようだ。
「確かに、ブルーライトをきわめて大量に肌へ当てれば、肌の老化にも影響しそうに思えます。ですが研究者のなかには、パソコンやスマホ、太陽などから浴びる可能性がある全てのブルーライトの量を計算した上で、『日常生活の中で接するブルーライトの量は、実際に肌へ悪影響を与えるほどの量には全く達しない。つまり、肌を守るためにブルーライトカットを意識する必要はない』との説を唱える人もいます。このテーマは研究途上にあるので、現時点では質の高い十分なエビデンスはありません。ブルーライトカットをすることが良いかどうかは、まだわからない状況なのです。2020年に日本皮膚科学会雑誌に掲載された論文でも、可視光線が光老化(シミやシワを招くこと)や発がんへ影響するかについては、「関連不明」と記載されています(参考文献10)。少なくとも有料の化粧水を推奨する理由には乏しいでしょうね。」