■アイドルがCDを出しても売れない、お客も集まらない…
アイドルたちは、時代にも翻弄されたという。
「’89年に宮崎勤による連続幼女誘拐殺人事件が社会問題となりました。彼はアニメオタクだったのですが、その影響でオタクという言葉そのものにネガティブなイメージがつくことになり、アイドルオタクも同様でした。
さらに当時はバブル期で世の中は“イケイケ状態”でしたが、いっぽうアイドルといえばお淑やかなイメージ。なおか尚且つ、女子高生を中心にカラオケブームが起こったものの、アイドルソングはどちらかというとノリノリで歌うものではなく“聴くもの”でした。そのため時代にアイドルがハマらなかったという側面もあったと考えています」
斉藤氏は「今でこそ武道館公演を果たすアイドルは多いのですが、冬の時代ではCoCoや東京パフォーマンスドールといったアイドルくらい。それ以外のアイドルに武道館は厳しかったですし、当時は関係者から『“CDを出しても売れないよ”と上から言われた』という話も聞きましたね」と明かす。
「Winkは冬の時代に一人勝ちしましたが、彼女たちもデビュー当初はデパートの屋上でキャンペーンをしてもお客さんが4、5人しか集まらなかったといいます。“アイドルはお客さんを集められない”という状況がありましたし、そもそもWinkは当時笑わないアイドルとしてブレイクしており正統派アイドルというわけでもありませんでした」