「没後34年となる美空ひばりさんですが、最近もフィルムコンサートがたびたび行われています。命日の6月24日は、“生誕の地”である横浜にてイベントが開催されました。
’19年の『NHK紅白歌合戦』に登場した“AI美空ひばり”が賛否両論で大きな話題となりましたが、結果的には幅広い世代にファン層が拡大したのではないでしょうか」(スポーツ紙記者)
’89年に52歳という若さで亡くなった美空ひばりさん。“昭和の歌姫”としていまも注目を集める彼女に会える場所として知られているのが、東京都目黒区にある「美空ひばり記念館」だ。
もともと彼女が自宅として住んでいた建物で、ひばりファンが聖地と呼ぶ場所だが、近年は“消滅の危機”がささやかれていた。
「’20年に『週刊新潮』が事務所の借金トラブルを報じました。
ひばりさんの養子で『ひばりプロダクション』社長の加藤和也さんによる放漫経営が原因で、記念館が売りに出されているという記事でした」(芸能関係者)
登記簿を見ると、美空ひばり記念館に対して’17年に不動産金融会社が根抵当権を設定しており、かなり資金繰りが悪化していたようだ。
「経営悪化の原因は’08年にリニューアルオープンした『京都嵐山ひばり座』で、13億円をつぎ込んだといわれています。営業がうまくいかず、5年で閉館に追い込まれました。
その後も東京ドームでのコンサート企画や記念CDの発売などがありましたが、赤字を埋めることはできなかったそうです」(前出・芸能関係者)
『週刊新潮』の報道後も借り入れ先を変えながら綱渡りの経営が続いていた加藤氏だが、じつは記念館の売却回避に“救世主”が現れていた。
’21年7月に新たに抵当権を設定したのはロー・晴代氏が代表取締役を務める「オフィス・ロー」。債権額は6億8千万円とある。女性経営者のようだが、いったい何者なのか。
「重機の輸出を行う企業などでも取締役を務めていますが、何よりも“インドネシア石炭王の妻”として知られています。
夫のロー・タク・ウォン氏はインドネシアに複数の鉱山を持つ大富豪。経済誌『フォーブス』の億万長者特集に掲載されたこともあり、総資産は1兆円といわれています」(マネー誌記者)
まさに桁違いの資産家。さらに調べてみると、’17年1月に放送された『日本一うらやましいのは誰だ!?国民的お金持ちグランプリ』(フジテレビ系)に出演していることがわかった。
番組では「東京、インドネシア、シンガポール、オーストラリアなどに6軒の家を所有」「誕生日にライフライン、住居、使用人などを整備した無人島をプレゼントされた」など、とんでもないエピソードが紹介されていた。
「ロー・晴代氏は山梨県出身で、大学生のころ日本語学校でアルバイトしていたときに夫と出会ったそうです。インドネシアつながりでデヴィ夫人とも交流があるそうですよ」(前出・マネー誌記者)
“第二のデヴィ夫人”と呼ばれそうな彼女が、なぜ美空ひばりさんの救済に立ち上がったのか。本誌が本人に取材を申し込むと、対応したスタッフはこう答えた。
「取材には慣れていないため、申し訳ありませんがお答えできません。さらに昨今は強盗などの話題も増えていますから、メディアに出ることに対して怯えておりまして……」
そんなロー・晴代氏だが、じつは2年前の美空ひばりさん命日に東京タワーで行われたイベントには姿を見せていた。
加藤和也氏はイベントの開催がひばりさんの熱烈なファンであるロー夫妻の協賛によって実現したことも明かした。会場で加藤氏はこう語っていた。
「ここまで母の名前を残してくださったのは、ふだんから母を応援してくださるファンの皆さまの変わらないお心だと思って感謝するところであります」
“不死鳥”美空ひばりさんの歌声は海を越え、ファンを魅了し続けていた――。