昨今、日本でも人気の高い北欧。しかし、そのブームの立役者として知られる漫画家の投稿が物議を醸している。
9月20日、フィンランド移住を志す顛末を綴ったコミックエッセイ『北欧こじらせ日記』の著者として知られ、昨年春から実際に移住している漫画家のchika氏が、週末北欧部という自身のX(旧Twitter)アカウントに12コマの漫画を投稿。
夏の数カ月間だけ、タイからフィンランドに派遣され、森でベリー類を摘む「ベリーピッカー」と呼ばれる人たちについて描かれており、そのほとんどの人が母国で農業を営んでおり、ベリーを摘める時期が終わると国に戻って米の収穫をするという。また、人によってはタイで15年分にあたる年収を稼ぐ人もいることが説明されていた。
chika氏が紹介した「ベリーピッカー」だが、実は大きな問題も一部で指摘されている。全国紙国際部の記者は言う。
「タイのある放送局は、出稼ぎでフィンランドを訪れる労働者たちは観光ビザで入国するため、社会保障や法律で守られない環境下で、早朝から夕方まで働かされたり、休みもとれなかったりする劣悪な環境のなかで働いている人もいると報じています
さらに、斡旋業者への手数料や現地での滞在コストなどが高額かつ自腹な上に、提示された給料を支払われないケースもあるといいます。フィンランドのタイ領事館は、悪質な斡旋業者にひっかからないよう注意を呼びかけているそうです」
そうした背景もあるため、「ベリーピッカー」を紹介した投稿に対し、SNS上では批判が殺到することに。
《ベリーピッカーのやつ、記事まで読んだらしっかり人身売買の事とかも認識してて、知りながらもこんな可愛いお仕事素敵だね 漫画に仕上げちゃうんだなぁと思った》
《ベリーピッカーが話題だけど、物価の安い国から季節労働者を呼んでやらせるような仕事が「楽して稼げる」仕事なわけないよそもそも。どこの国でもそれは同じ》
《タイ人ベリーピッカーは、フィンランドとタイで人身売買として国際問題になっている案件です。リンク先には漫画の五コマ目があり、ご本人はそれを把握しているようですが、美談のように切り取り発信するのは間違った認識を広めるのでやめて欲しいです》
これらの批判を受け、9月24日にchika氏はXに謝罪文を掲載。《9月20日公開のベリーピッカーに関する記事について、多くの方から実態と異なるとのご指摘を頂き、該当記事の投稿およびウェブサイトの記事を削除し非公開にさせていただきました》とし、《公開した内容により多くの方の誤解を招いてしまったこと、深くお詫び申し上げます》と陳謝していた。