■健さんのアドバイスは“あなたらしくやれ”
一見厳しい指摘にも聞こえるが、実際は愛ある激励だったようだ。
「そもそも、彼の出演作をよく見ているからこそ言えるアドバイスです。草彅さんのドラマの一場面について細かく語ったり、手紙で“顔がよく変わってきた”と褒めたりしたこともあります。
それに、健さんはダメ出しのなかで“あなた自身がいいんだから!”と声をかけていました。映画の撮影時も“あなたの好きにやればいいんだ”と言ってくれたそうです。
ありのままの草彅さんを評価しているからこそ、誰かを目指すより、個性を磨いてほしいと思っていたのではないでしょうか」(前出・制作関係者)
草彅の成長を見守っていた健さんだが、’14年に亡くなってしまった。
「健さんの死後も、草彅さんはあらゆる場面で名前を出し、敬意を表していました。初めての手紙から約15年、健さんとの思い出を忘れることはなかったようです」(前出・映画関係者)
’21年、ブルーリボン賞で主演男優賞を獲得した際、草彅は「高倉健さん、大杉漣さんのようにお世話になった先輩方に『立派な賞をいただきました』と報告したい」と各メディアのインタビューで話していた。
そして彼の心の中では、健さんの言葉が今も生きている。’13年、主演映画『中学生円山』の舞台挨拶で、草彅はこう語った。
《お芝居はうまくやろうとしなくていいんです。“おまえの中にある芝居の神様が勝手にやってくれる”と高倉健さんもおっしゃってました》(「スポニチアネックス」’13年6月3日配信)
「これは後輩俳優の『ラブシーンは緊張しますか?』という質問への答えです。健さんの教えを、今度は若手に引き継いでいくのだと思います」(前出・映画関係者)
“芝居の神様”は新幹線に再び舞い降りるはずだーー。