日本初の女性弁護士で、後に裁判官を務めた三淵嘉子さんをモデルに描くNHK連続テレビ小説『虎に翼』。5月10日の放送回では、ついに伊藤沙莉(30)演じるヒロイン・猪爪寅子が高等試験に合格をはたし、「日本初の女性弁護士誕生」と盛り上がる様子が描かれた。道を切り拓いていく寅子のことをやさしく、ときに厳しく励ましているのが、母・はる(石田ゆり子)の存在だ。
「第5回放送で、寅子のことを『甘やかされて育ったお嬢さん』となじる裁判官の桂場(松山ケンイチ)に対し、はるが『お黙んなさい!』と一喝するシーンは“スカッとした!”と女性を中心に多くの人の共感を呼びました。母娘のやり取りに引き込まれる視聴者が多いようです」(スポーツ紙記者)
ヒロインに愛情を注ぎ、叱咤激励し、ときに対立したりーー、朝ドラを盛り上げるのに欠かせないのが“お母さん”の存在だ。5月12日の母の日を前に、本誌は「朝ドラ(2000年以降に放送された作品)に登場する好きなお母さん」についてアンケートを実施。どの主人公のお母さんが印象に残っているのかを調査した。上位5人の名前と、支持する理由をみていこう。
第4位には同率で2人のお母さんがランクイン。1人目は『まんぷく』のヒロイン・福子(安藤サクラ)の母である今井鈴(松坂慶子)だ。武士の末裔であることを誇りとし、品格を大事にしている女性。経営者である夫を早くに亡くした経験から不安定な職業の男性を嫌い、三人の娘たちには安定した職業の男性と結婚することを求めていた。福子と発明家の萬平(長谷川博己)の交際を当初は反対していたが、2人の意思の固さを前に結婚を認めた。
好きな理由については、
《口ぐせで「私は武士の娘です」と言うところ》
《話し方がとても優しいトーンで好きです》
《包容力があるから》
《可愛さと凛とした感じが好き》
と、凛としたイメージが好印象だったようだ。
もう1人の第4位は、沖縄を舞台にした『ちむどんどん』の、黒島結菜演じる主人公・暢子の母である比嘉優子。沖縄県出身の仲間由紀恵が演じた。優子は困っている人の家庭にごちそうを譲るなど、とてもやさしい性格だが、それが“お人好し過ぎる”と周囲が心配するほどだった。
この“やさしすぎるお母さん”については、
《苦労を苦労と思わず母親として子供を第一に考えている》
《大きく包み込むように、見守り支える姿が母親らしい》
《いつも笑顔が柔らかく、優しいけれど、時には厳しいところ》
《庶民のお母さんって感じがしたから》
といった声が集まった。
第3位に入ったのは、『あまちゃん』の天野育子(小泉今日子)。ヒロイン・アキのお母さんだ。アイドルを志すアキを支える育子自身、高校生のころに家出して上京し、アイドルを目指し活動したことがあったが、その夢を諦めた過去があった。
育子については次のような支持の声がーー。
《アイドルを目指していたという設定がぴったりだった》
《元アイドルが母親役って、感慨深い》
《単なる母親ではなく、物語のもう一人の主人公。歌ってたテーマ曲もよかった》
《自由なお母さんという印象が残っているから》
一世を風靡したアイドルが演じる母親像が、強いインパクトを残したようだ。
第2位は『ちゅらさん』のヒロイン・恵里の母である古波蔵勝子(田中好子)。涙もろく、お人好しな性格。八重山諸島小浜島から那覇市に移住し、市場で働き、家計を支えた。
勝子のキャラクターには、ゆったりしたイメージを思い浮かべる人が多かった。
《のんびりとした口調が沖縄の言葉と合っていたのが印象的》
《沖縄の言葉が良くあっていたし 優しさが伝わった》
《おばーと仲良く、ほっこりと見る事ができたから》
《懐かしい感じがするから》
《ほんわかしていて、こういうお母さんがいいなぁと思うから》
21世紀最初の朝ドラだが、そこで描かれたお母さん像は多くの人の心に残っているようだ。
そして、もっとも多くの票を集めたのは、『ブギウギ』の趣里演じるヒロイン・スズ子の母である花田ツヤ(水川あさみ)だ。戦後のスター・笠置シヅ子さんをモデルに、ヒロインがスターに成長していく姿を描いた物語の中で、ツヤは義理と人情を大切にし、子どもたちのことを第一に思う優しい母。
ツヤの子どもを思う気持ちに、次のような声が。
《明るくて子どもを愛しているのが伝わってくるから》
《娘を応援することに一生懸命なところが好きです》
《おおらか、子どもに心配をかけない》
《はつらつとした印象が良かった》
《人間味があってよい、気取った感じがないところに好感が持てる》
《家族思いのお母さんキャラクターがつたわってきた》
大阪を舞台にした物語で、大阪出身である水川が演じたお母さんが、第1位となった。
朝ドラごとに、キャラクターや描かれ方もさまざまなお母さんたち。次期朝ドラ『おむすび』では、橋本環奈演じるヒロイン・結の“元ヤンお母さん”を麻生久美子が演じる。朝ドラで描かれる母と娘の関係性に、今後も注目だーー。