日本テレビの長寿番組『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』が12月29日に開催される(放送は2025年予定)。1979年の大晦日に『NHK紅白歌合戦』の裏番組としてスタートした『仮装大賞』は今回、100回目を迎える。
第1回から司会を務める萩本欽一(83)は3年前の98回大会で「今回で私、この番組終わり」と勇退を示唆。しかし、日本テレビの度重なる説得、65回大会から共に舞台に立つ香取慎吾(47)の「欽ちゃんが出ないなら僕も出ません」という言葉に導かれ、復活を決意した。
昨年末の99回大会、欽ちゃんが舞台に出ていくと、客席から万雷の拍手が飛び交い、「ありがとう!」と声援が送られた。収録から数日後、萩本にインタビューすると、「長いことテレビに出てきたけど、あんなに熱い拍手と声援はなかった。『欽ドン!』が当たったときの拍手は忘れられなかったけど、今になって一番が出てきた。本当に幸せな気分だった」と興奮冷めやらぬ様子で語っていた。
一方で、萩本は収録中に「もっとアドリブ飛ばせるだろ」と自らを叱咤していたという。出場者が審査員のオードリーの若林正恭(45)に「昨日、オールナイトニッポン聴いてきました」と言うと「若林、(合格の)メダルかけてあげて」と頼むなど、機転を効かせた欽ちゃんの空気作りは健在で、個人視聴率で週間3位(ビデオリサーチ調べ/関東地区)の数字を獲得した。
それでも、欽ちゃんは満足しなかった。週1回のYouTube生配信と連動しながら、今年1月からは新宿バティオスでお笑いライブを開催。「アドリブが飛ばない」という反省から、笑いの反射神経を取り戻すため、83歳の今も舞台に立っている。ライブは台本なしで、演者が与えられたお題をこなしながら、欽ちゃんがツッコミを入れていくスタイル。最近3回は、萩本の発案でカメラマンも演者にダメ出しを行い、笑いを生んでいる。
4月と6月のライブでは、欽ちゃんファミリーの一員である勝俣州和(59)が登場。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で「ファン0人説」を提唱された勝俣だったが、舞台に登場すると、1人の女性が「キャッー!」と黄色い声援を送った(勝俣曰く「茶色い声援」)。
ライブ中、萩本には椅子が用意されているが、立ってツッコミを入れる場面も多く、回を追うごとにその時間は増えている。『仮装大賞』をきっかけに、欽ちゃんは明らかに元気を取り戻している。記念すべき100回大会はよりパワーアップした萩本欽一の司会ぶりが見られるに違いない。
※『欽ちゃん&香取慎吾の第100回全日本仮装大賞』の予選は10月6日の札幌を皮切りに、全国12ヵ所で行われる。詳しくは番組ホームページまで。
※上田崇博プロデューサー(日本テレビ)のコメント
「家族や親戚、クラスメイトでチームを組む以外に、お1人でのエントリーも可能です。もちろん、初めての方も大歓迎です! 記念すべき100回大会に、ぜひご参加ください! 欽ちゃん&慎吾ちゃんも、皆さんのご参加をお待ちしています!」
【PROFILE】
文:岡野誠
ライター、松木安太郎研究家。〈検証 松木安太郎氏「いいボールだ!」は本当にいいボールか?〉(2019年2月)が第26回『編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞』デジタル賞を受賞。著書に『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)がある。100回目の『仮装大賞』には審査員として斉藤清六の出演を願っている。また、オープニングテーマを以前のオリジナル音源に戻してほしいと考えている。