Sexy Zoneとしての歴史に幕を閉じ、3人体制で再スタートを切ったtimelesz。新たなグループ名では初となる全国ツアー『We’re timelesz LIVE TOUR 2024 episode0』を開催中だ。7月23日には、彼らにとって思い入れの深い会場である横浜アリーナでの最終公演が行われた。「timelesz project」という新メンバーオーディションを進行中の彼ら。3人で横アリのステージに立つのはこれが最後。Sexy Zone時代の楽曲から、timeleszとしての最新曲まで、懐かしさと新しさが共存した公演の様子をレポート!
4月に改名したtimeleszにとって初めてのコンサート。その口火を切るのは、Sexy Zone時代に5人で最後に披露した楽曲「RUN」。前奏が流れるやいなや、会場は大きな歓声に包まれた。メインステージに登場した3人は白いセットアップ姿。序盤から最高潮のパフォーマンスを見せ、開始20分足らずですでに汗だく。しかし、3人ともとびきりの笑顔で心から楽しんでいるのが伝わってきた。そんな彼らのテンションにつられ、観客のボルテージもどんどん高まっていく。とくに、松島聡が積極的に客席に呼びかけ、コール&レスポンスを行っていたのが印象的だった。幕間にはオリジナルラップを披露する場面も。「2024 新たな始まり 第1章」「目指す先はTop」「見とけ 歴史に刻む瞬間 その名はtimelesz」と熱い気持ちをこめた決意表明となっていた。
そしてSexy Zone最後のシングルとなった『puzzle』。楽曲の終盤、ムービングステージの上で向かい合い、アイコンタクトを取りながら歌う3人。胸が熱くなる演出だが、MCコーナーで明かされたところによると、これは横浜公演から新たに取り入れられたものだそう。見学に訪れた櫻井翔の「『puzzle』がとくにぐっときた。もっと3人が目を合わせて歌うのを見たい!」という言葉を受け、変更したのだという。本人たちも「思わず泣きそうになった」と語っていた。
続くソロコーナーは、圧倒的なビジュアルで魅せる佐藤勝利、大人の色気を存分にあふれさせる菊池風磨、持ち前の表現力を全身で発揮する松島聡と三者三様の魅力でいっぱい。一方で、パフォーマンスの雰囲気や世界観にはどこか“つながり”が感じられて、timeleszというグループの一体感の強さを表していたようにも思う。
その後、Sexy Zone時代にコンサートの定番となっていた、飲み会のようなコールで盛り上がる『スキすぎて』で会場をおおいに沸かせて、MCコーナーへ。3人とも、大きな歓声を送る観客への感謝を口々に話していたのが印象的だった。また、横浜アリーナという会場について、「悔しいこと、悲しいこともあったけど、楽しい思い出が一番多い」と、思いの深さも語った。松島が「今日、ヤバいかも」と、すでに涙腺がゆるくなっていることを明かすと、3人ともほかのメンバーを泣かせようと、お互いを褒め合っていたのも微笑ましかった。そろそろ後半戦へ突入かと思われたところで、なんと、松島聡がトイレに行くというハプニングも。本人は「内緒にして」と頼んだそうだが、菊池風磨がすぐにバラし、佐藤も声を上げて大爆笑。まるで兄弟のように気のおけない掛け合いも、彼らの大きな魅力の一つなのだ。
後半戦は佐藤のアコースティックギター演奏で歌う「君と…Milky way」でスタート。「Dream」では以前のコンサートで行った、ペンライトをマリウス葉のメンバーカラーのオレンジに変える演出を自発的に行う観客も多く、彼らがSexy Zoneとして歩んできた軌跡の尊さを感じられる瞬間だった。実はこのとき、会場にはマリウス本人も駆けつけていたそうで、オレンジ色の光にこめたファンの思いは、しっかりと彼に届いていただろう。続く「meke me bright」では、楽曲提供したアーティストiriがサプライズ登場。美しいハーモニーで会場を魅了した。
その後、「君にHITOMEBORE」や「King & Queen & Joker」、「勇気100%」といった懐かしの楽曲をメドレーで披露すると、コンサートはついにクライマックスへ。ラストのコーナーに突入する直前、メンバーたちがファンへの思いと未来への決意を語ってくれた。
松島聡
「3人で立つ最初で最後のツアー。Sexy Zoneとして歩んできた道のり、そしてtimeleszとして歩いていく新たな未来を詰め込んだライブになっています。こうやってみんなの笑顔を見て、直接リアクションをもらえる場所をまたいただけたこと、本当にうれしいなって思います。そして、グループとしていろいろ変動があるなかで、会いにきてくれたことも本当にうれしいです。本来なら僕らがみなさんに勇気とか希望を届ける立場ですが、いつも結局、みなさんからもらって帰ることになってしまいます。それだけ、みなさんが持っているパワーってすごいんだよってことを、今日は伝えたいです。
お化粧とかさ、かわいい服やかっこいい服を着てきてくれたりとか。そういう僕らのためにかけてくれる時間って本当に貴重で。みんなも1日のなかで僕らのこと考えてくれる時間があると思うんですけど、我々も毎日みんなのことを考えてます。
4月に「timelesz project」を発表させていただきましたが、活動を通して少しずつ、みなさんに理解してもらえるように、一生懸命頑張っていきたいと思います。みなさんも混乱してるとは思うんですけど、少しずつついてきてもらえたらうれしいです。最終的に、timeleszを応援していてよかった、それが誇りだと思ってもらえるようなグループを目指したいと思います。今日は本当にみんなに会えてうれしいです。ありがとう。ビッグラブ!」
佐藤勝利
「4月にtimeleszと名前が変わり、いろいろな発表もさせていただき、戸惑いや不安をたくさん与えてしまったと思います。僕たちとしては、そういう思いをさせたかったわけではなくて。上を見上げて高みを目指しているのも、見たことのない景色を見せたいなという思いがあるから。目の前のみんなを笑顔にしたい、そういう思いを届けたいんですが……。本当に申し訳ないなと思っています。
こうやってツアーを周らせてもらっていること、timeleszとしてまたライブができていること、当たり前じゃないなっていつも思っています。そしてライブでは、みんながすごい盛り上がりを見せてくれて。ファンのみんなが支えようとしてくれていることが、すごく伝わってきます。僕たちが支えなきゃいけない立場なのに、本当に感謝しています。いろんなことがあって、これまで何回もみんなに支えてもらって。これからは不安や戸惑いを与えてしまったぶん、みんなが見たことない景色を絶対に見せたいなと思います。
timeleszの頭文字の“t”は、アルファベット順で必ず“u”の前にあります。“u”は“あなた”。あなたの前にいつもtimeleszがある。新しいグループ名には、そんな思いもこもっています。絶対みんなの目の前にいられるグループでありたいと思います。ずっとずっとついてきてほしいです」
菊池風磨
「僕たち3人はとにかく前を向いています。前を向いて突っ走って、その先にある大きな夢を叶えたい。素敵な景色を見たい。そんな思いで一心不乱に走り続けています。ただ、それがみなさんにとっては、少しさみしい思いをさせているんじゃないかな、とも思います。メンバーが2人辞めてしまって、グループ名まで変わって。それに対してもっと感傷に浸ったり、一歩立ち止まって振り返ったりしてほしい。そう思う人も少なくないと思います。
ただ、僕たちはそれでも前を向きます。なぜ前を向くのか、無我夢中で走り続けるのか。それは、僕たちが抱く夢は、見たい景色は、5人のSexy Zoneが叶えたかった大きな大きな夢だからです。五大ドームも国立もチャートの総ナメも、全部5人のSexy Zoneの夢だからです。Sexy Zoneっていう形じゃなくなって、2人がそれぞれの夢に歩いていっても、僕たち5人で思い描いた夢は、これからもtimeleszが追いかけていきます。
オーディションで新メンバーを決める。そんなことは前代未聞です。みなさんも驚いたと思いますし、スタッフも驚かせてしまったと思います。ただ、どんなに途方もないことでも、どんなに無謀だと思われても大丈夫です。全部うまくいきます。だから、どうか僕たちtimeleszにこれからもついてきてください。もちろん、Sexy Zoneっていう宝箱は“ぎゅっと”抱きしめて、これからも一歩一歩、前に進んでいきたいと思います」
会場が暗転すると、スクリーンに文字が浮かび上がる。「メンバーが生まれてから今日まで」や「入所してからデビューまで」、「Sexy Zoneとして活動した期間」など、彼らの軌跡を“秒数”、つまりtimeleszのファンネームである“secondz”で表現していく。「佐藤勝利がライブでSexy Roseと言った秒数」「松島聡がライブで泣いた秒数」と続き、「菊池風磨がライブで泣きそうになった秒数」。これは、前日の3秒から7秒に増えていた。「親父に『泣くな』って言われて育てられたから!」とふだんほとんど涙を見せない菊池にとっても、3人で立つ最後の横浜アリーナは、感慨深いものだったのだろう。それをよく理解しているファンからは、感嘆の声が上がっていた。
いよいよ最後のコーナーは、「Anthem」や「Selfish Love」などtimelesz名義で発表した楽曲を披露。最先端で洗練されていながらも、力強いメッセージ性も感じさせる。黒いセットアップで魂をこめて歌い踊る姿には、彼らが目指す新しいグループ像が現れていたように思う。
一度ステージを後にしたメンバーだったが、会場中に響きわたる「timelesz」コールにこたえてスタンドに再登場。たっぷり時間をかけてファンサービスをしていく。ハイタッチをしたり、うちわのリクエストにこたえたり、ファンの目をしっかりと見て、丁寧にコミュニケーションをとっている姿が印象的だった。そして、ラストを飾った楽曲「ぎゅっと」の終盤で、1人用のトロッコに3人で乗り込んだ彼ら。タイトルどおり“ぎゅっと”体を寄せ合って楽しそうにはしゃぐ様子が、とても微笑ましかった。
ペンライトは、ファンがアイドルへ思いを伝える手段の一つだと思う。会場を見ていると、「Dream」でのオレンジの光はもちろん、公演中に青色を灯しているファンも多かった。この2色はマリウス葉と中島健人のメンバーカラー。今回の公演は、timeleszとしての新たな門出であると同時に、Sexy Zoneという思い出の宝箱を最後にもう一度開けて、前向きなお別れをするための時間だっだのかもしれない。
そして、ついに新たなスタートを切ったtimelesz。5人で描いていた夢を胸に、自分たちで切り拓いた道を堂々と歩いていってくれるに違いない。