■『スタジオアルタ』になじむまで8年かかった大物有名人
懐かしい思い出だけではない。芸人にとっては、スタジオアルタは戦場でもあった。司会のタモリを除いて『いいとも』に歴代最長29年間出演した関根勤(71)は4年前のバラエティ番組『あちこちオードリー』(テレビ東京系)でこんなボヤきを――。
「実はね、『笑っていいとも』、完全になじむまで8年かかったんです。コサキンのラジオってね、9割以上が男。僕の舞台も9割が男なんですよ。千葉真一さんにしても(ジャイアント)馬場さんにしても長嶋(茂雄)さんにしても、男ネタばっかりやってたわけ。それで『いいとも』行ったら9割5分が若い女性でしょ。どうしていいかわかんない……」
『いいとも』にレギュラー出演していたふかわりょう(50)は昨年、新聞の連載記事で思い出話を綴っていた。ある日の朝、芸人仲間計5人でフジテレビのプロデューサーに向けてネタ見せをする予定だったものの、遅刻。すでに退出したプロデューサーが自分の誕生日祝いを用意していたことを知り、なんとかお詫びするため、その人物がスタジオアルタのタモリの楽屋にいることを聞きつけ、突如訪問したという。
《約30年の歴史の中で、タモリさんの楽屋で号泣しながら土下座した人はいたでしょうか。涙を吸収するカーペット。状況を理解しているのかいないのか、タモリさんはニヤニヤしながら言葉を添えて雰囲気をほぐしてくださいました》(『東京新聞』24年5月22日WEB公開)
実は『笑っていいとも!』生放送直後は、観客だけのために毎回、タモリの定番ギャグがあったという。
「『いいとも』の最終回が終わった数カ月後、キングコング・西野亮廣さんがフジテレビのトーク番組で、タモリさんが“毎回同じボケをしていた”と打ち明けていました。
西野さんによれば、タモリさんは放送終了後『どうもありがとうございました!』と客席に向かってお礼を言った後、『ここでお客様用にですね、特別ゲスト・福山雅治くんです!!』と言ってお客さんを沸かせ、即座に『んなわけないでしょ~』と突っ込む。もう何十年も、爆発的にウケ続けたそうです」(前出・スポーツ紙記者)
泣き笑いの思い出がいっぱい詰まったスタジオアルタ。アルタを所有する会社によれば、ビルの今後についてはまだ“何も決まっていない”という。
