■コンビにおけるツッコミの能力も高い
1人になって目立ち始めたケムリの魅力のひとつとして、ラリー氏はその“人柄の良さ”をあげる。
「ケムリさんの父親は現在、大手証券会社の副会長を務めています。そんな裕福な家庭に生まれて、経済的には恵まれていました。そこでのびのびと育ったからか、素直で屈託がなく、明るくて優しい。そういうところが人間として魅力的です。
令和ロマンとして漫才をやったり、2人で話したりしているときにも、ケムリさんが相方のくるまさんがやることによく笑っています。それがすごく気持ちの良い笑いなんですよね。作り笑いじゃなくて、本当に面白いと思っている感じが伝わってきて、2人のときにはすごく良い雰囲気が出ているんです。1人で表に出る場面では、そういう本来のキャラクターの魅力がより際立ちますよね」
さらにコンビとしてやっていく上での「ツッコミとしての能力も高い」というケムリ。令和ロマンのM-1優勝の根底には漫才師としての技術の高さがあるという。
「彼は、中高一貫の名門私立から慶應義塾大学に進んでいます。勉強もできるし、ボキャブラリーも豊富で、世の中のことをよく知っています。ツッコミは知識が重要なんです。ボケの発言の意図を汲み取って“それは◯◯だろ”みたいなことを正確に言わないと笑いにならないからです。
ケムリさんは、ほかの芸人だったら理解できないようなフレーズに対しても、的確にツッコんだりすることが結構あるんですよ。“能ある鷹は爪を隠す”という感じで、知識をひけらかすことはないのですが、実は結構レベルの高いことをやっています」
今回のくるまの自粛はコンビにどのような影響を与えたのだろうか。
「この事件がきっかけで、ケムリさんが個人として注目されるようになって、くるまさんが“完璧すぎる”イメージから脱却することができました。くるまさんは、お笑いや漫才というものを自分なりに徹底的に分析して突き詰めることで、M-1連覇というとてつもない偉業を成し遂げました。でも、そのせいで何でもわかっている完璧な人間のように思われていたところもあった。それは芸人としては必ずしもプラスではなかったはずです。
こういう不祥事があったことで、くるまさんも完全無欠の存在ではなく、ただの人間なんだと思われるようになったかもしれない。多少スキがあるくらいの方が芸人としては魅力的だったりするので、長い目で見れば彼にとっては良かったのではないかと思います。もちろんトラブルを起こしたことで仕事に影響は出ていますし、事務所や関係各社に与えた損害は小さくはないのですが、あくまでも令和ロマンというコンビ単位で考えるなら、”雨降って地固まる”という感じで、長期的にはそれほど悪いことではなかったのかもしれません。
“テレビには出ない”発言で知られるくるまさんと違って、ケムリさんには普通にタレント志向もあり、テレビには積極的に出ていきたいのだと語っています。今後はケムリさん個人に番組出演のオファーが来る機会も増えるでしょう。ますます仕事の幅が広がっていくことになると思います」
災い転じて福となす?
