■「発声や表情が素晴らしい」と太鼓判
そんな血の滲むような努力の甲斐もあり、『国宝』には、多くの歌舞伎役者たちも称賛の声を送っているのだ。
「人間国宝の片岡仁左衛門さん(81)を父に持つ片岡孝太郎さん(57)も、自身のブログで《歌舞伎座の楽屋では、映画『国宝』の話題でいっぱいです》と綴っているほか、市川團十郎さん(47)は、自身のYouTubeチャンネルで、『この映画をきっかけに歌舞伎に興味を持つ方が増えてくれたら嬉しい』と絶賛しています」(前出・歌舞伎関係者)
8月の会見でも團十郎は「舞台に立っていても、客席の雰囲気がいつもと違う」と語っており、『国宝』のヒットは実際の舞台にも影響を与えているという。
こうした背景もあって、現在、梨園では、ある“期待の声”が湧き上がっているというのだ。
別の歌舞伎関係者が続ける。
「吉沢さんが劇中で見せた『二人藤娘』や『曽根崎心中』、『鷺娘』での演技は、本職の歌舞伎役者からも高く評価されています。
そのため“吉沢さんを実際の歌舞伎の舞台に出してみたい”という声が梨園で方々から上がっているのです。
梨園は、長らく観客の減少に苦しんできました。そんな状況下で『国宝』が人気を集めたこともあり、集客を期待できるのでは、という狙いもあるようです。さらにそれ以上に“ぜひ吉沢さんと一緒に舞台に立ちたい”と、共演を熱望する声も上がっています」
歌舞伎の公演を手掛けている松竹にも、そうした声は届いているという。
「『国宝』の配給は東宝が行っています。当初は松竹で配給するという話もあったそうですが、公開できる映画館数が東宝には及ばず、東宝による配給になったと聞いています。長らく歌舞伎公演に携わってきただけに、松竹関係者は忸怩たる思いでいるようです。
ある人間国宝の一家も映画館に足を運んだそうで、“もっと彼の歌舞伎が見たい”“彼の存在は歌舞伎界の刺激になる”などと、周囲に熱弁しているそうです。
演技を1年半で習得したという吸収力はもちろん、とりわけ発声の仕方や女形特有の表情の見せ方が素晴らしいと太鼓判を押していたとか。
松竹としても吉沢さんの起用を前向きに検討していると聞いています」(前出・別の歌舞伎関係者)
歌舞伎役者以外の俳優が出演した例としては、滝沢秀明(43)が手掛けていた『滝沢歌舞伎』のほか、佐々木蔵之介(57)の『スーパー歌舞伎II 空ヲ刻ム者』(’14年)への出演などがある。
吉沢が本物の歌舞伎の舞台に立つとすれば、どのようなものになるのだろうか。
「『国宝』のファンとしては、歌舞伎の本拠地である銀座・歌舞伎座の舞台に上がることを期待すると思います。とはいえ、劇中で吉沢さんが演じた演目のほとんどが主役のため、歌舞伎座でのいきなりの主役起用はあまり現実的とは言えないでしょう。
しかし新橋演舞場などは『滝沢歌舞伎』や『スーパー歌舞伎』の公演会場となったこともあり、今後そうした場所で吉沢さんが劇中の演目に出演することは、十分にありえるのではないでしょうか」(前出・別の歌舞伎関係者)
実際の舞台で、“国宝級”の演技を見ることができる日は――。
画像ページ >【写真あり】22年2月末、かなりの疲れ顔で帰京した吉沢亮(他4枚)
