12月10日、ビジュアル系バンドマンがXにひめゆり学徒隊を模した衣装を着用した姿を投稿し、ネット上で波紋が広がっている。
そのバンドマンとは、グランギニョルでボーカルを務める烏-karasu-だ。グランギニョルは今年10月から活動をスタートさせたバンドで、東京を中心にライブをおこなっている。
12月10日から12日まで沖縄で単独公演を三日連続でおこなう予定のグランギニョル。その公演名は「ひめゆり学徒隊」だ。12月9日、烏-karasu-はXで1日目の衣装のテーマはひめゆり学徒隊だといい、《衣装以外を着るのは初.モンペ着用します》と綴っていた。
10日、ライブを終えると烏-karasu-はひめゆり学徒隊をイメージしたというライブ衣装を着用した自撮りをXで公開した。そこには泥に汚れたようなメイクを顔に施した烏-karasu-の姿が。髪は三つ編みで白いシャツを着て、下はもんぺを合わせ、救急鞄のような白いバッグも肩から掛けていた。
烏-karasu-が公開した写真に対し、Xでは厳しい声があがっている。
《親戚がひめゆりの教師として命を落とした身としてホントに不快。みんな必死で逃げてたんだよ。戦火だけでなくハブや栄養失調とも闘ってたんだよ》
《言葉にならないくらいの怒り覚えるね》
《最悪すぎるんだけど。エンタメとして消化していい題材だと思ってる?常識がないよね》
この投稿が炎上した理由を全国紙社会部記者はこう語る。
「太平洋戦争末期の’45年3月から3カ月ほど、日米両軍は沖縄で住民を巻き込んだ地上戦を繰り広げました。そこに看護要員として動員された女生徒たちがひめゆり学徒隊です。動員された生徒222名はガマと呼ばれる壕のなかで負傷した兵士たちの世話をしました。尿や便の片付けや死体埋葬といった作業もあり、さらに不衛生な環境から生徒たちの汚れた衣服や頭にはシラミがわくことも。食事も粗末なものしか与えられなかったため、青白くやせ細っていき、高熱におそわれ倒れる生徒もいました。
苦しい環境を乗り越えた後、6月18日の夜に解散命令が出たのですが、壕を出た生徒たちは砲弾が飛び交う戦場を逃げ惑うこととなり、多くが亡くなりました。なかには身を潜めていたところ、突然アメリカ軍に小銃で攻撃されて亡くなった生徒もいたといいます。結果的にひめゆり学徒隊の生徒は123名が犠牲になりましたが、そのうち100名以上が解散命令が出されてから数日で命を落としたのです。
そうした暗く悲しい歴史があるひめゆり学徒隊をコスプレの題材にしたことに怒りを覚える人が多いのでしょう。また、実際にひめゆり平和祈念資料館に展示されている生徒たちの写真を使用し、彼女たちの目にモザイクを入れる加工をしてライブのイメージビジュアルに採用していることも反感を買っているようです」
批判が相次ぐなか、烏-karasu-はXで一般ユーザーから自分に寄せられた《最低。ひめゆり学徒隊は実際の犠牲者がいて、沖縄にとって今も重い歴史。その上で、泥や傷のメイクで笑顔の自撮りは悲惨な歴史を茶化してるみたいで気色悪い ひめゆり学徒隊の女の子達は綺麗でいたい年頃で散ったのに。こんな汚れた姿になりたくなかったろ。こいつ何?》との投稿をリポスト。真意は不明だが、11日には2日目のライブの衣装写真を普通に公開しており、元の投稿を取り消すつもりはなさそうだ。
画像ページ >【写真あり】「不謹慎」V系バンドマンが披露したひめゆり学徒隊をイメージしたと思われるコスプレ(他2枚)
