大晦日の『NHK紅白歌合戦』に12年ぶりの出場を果たしたロックバンド「サカナクション」。年が明けた1月1日、ボーカル・ギターの山口一郎(45)は自身のYouTubeチャンネルで生配信を行い、当日の舞台裏を語った。
サカナクションが紅白で披露したのは、『怪獣』(’25年)と『新宝島』(’15年)の2曲。いずれもバンドを代表する人気曲だが、ファンの間では山口が演奏中に行ったパフォーマンスがSNSで話題を呼んでいた。
『怪獣』の演奏が終わり、ステージセットが変わると、NHKで’22年に放送された特撮ドラマ『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』のオブジェを手に持ち、「僕たち私たちサカナクションです!2025年お疲れさでした!」と声を上げた山口。そして、『新宝島』の演奏に入ると、イントロ約20秒間にわたってオブジェを掲げていた。
ドラマ『TAROMAN』は、芸術家・岡本太郎の世界観を体現した作品で、主人公は岡本の作品「若い太陽の塔」の顔をした“巨人”タローマンだ。山口が掲げていたのはタローマンの顔を象ったものだったが、実は山口とドラマの関りは深い。
「『TAROMAN』は“1970年代に放送されていた特撮ヒーロー作品”という体裁ですが、5分間の放送中に『TAROMANと私 山口一郎、TAROMANを語る。』というパートが挿入されます。これは、“タローマンマニア”という設定の山口さんが、タローマンや岡本太郎について語るというインタビューパート。そのため、ドラマは“特撮モノ”と山口さんのインタビューで構成された、モキュメンタリー作品なんです。’25年8月には劇場版『大長編 タローマン 万博大爆発』も公開されており、もちろん山口さんも出演しています」(WEBメディア記者)
山口がタローマンを掲げると、紅白視聴者の間では、Xでこんな反応が起こっていた。
《なんと紅白歌合戦サカナクションさんの手にタローマンが!》
《サカナクション紅白登場でタローマンが応援に駆け付けてくれたら激アツだけどさすがに年末の一大行事でんな身内ネタやらんよな……って思ってたらオイ!!!!!!(大歓喜)》
《紅白歌合戦にもサカナクションルートで出演する巨人、そうタローマンである》
さらに、『TAROMAN』を手がける映像作家・クリエイティブディレクターの藤井亮氏も、山口の手元に注目していたようで、《このまま君を連れて行くよ…タローマンを紅白に連れて行ってもらえて感無量です。最高の2025年の締めくくりになりました。良いお年を!》と投稿。
このように多くのファンや関係者がにぎわいを見せていたのだが……。山口は年明けのYouTube生配信で、NHK側の“真逆の反応”を明かしている。
山口は、紅白が終わった後に両親とビデオ通話をしたといい、「(親から)『お前、紅白の岡本太郎、怒られたやろ』って言われて。『あれ、お前(NHKに)言ってなかったやろ』って。怒られたわって」と当時のやり取りを明かした。そして、タローマンを掲げた演出についてこう説明した。
「紅白見ていただいた方わかると思うんですけど、『新宝島』の時にタローマンのお面を持ってたんですよ。あれ、リハーサルでもランスルーでも持ち込んでなかったの俺。本番でいきなりやっちゃったの」
続けて、山口は「田中(裕介)監督の演出で、ビクターもNHKの方も演出をこだわってくれて、時間もかけて調整して、すごく緻密にやり取りしてたわけですよ。そのなかで本番でいきなり俺が想定外のことやったもんだから。それはNHKの人も怒るよね。俺が悪いんだよ、誰にも言ってなかったから」と反省しつつ、「許してくれました。私の勝手な行動を」と顛末を報告した。
山口といえば’22年にうつ病を発症し、サカナクションも同年7月から約2年活動を休止した過去がある。山口は今回の配信で、『TAROMAN』に感謝していると述べつつ、自身の病気についてこんなエピソードを話していた。
「僕がうつですごくしんどかった時ですよ。色んな人に忘れられるんじゃないかと不安だった時に、藤井監督が『TAROMAN』のキャスティングをしてくれたんです。音楽ができない、調子がいい日も悪い日もまばらでスケジュールを組むこともできない中で、藤井監督が声をかけてくれて、番組に出たんですよ。休んでた時期に『TAROMAN』があったおかげで、露出があったんですよ。あれがなかったらすごい不安だったと思うんです。『TAROMAN』があったおかけで救われたんですよ」
山口がオブジェを持ち込んだことで改めて注目が集まった『TAROMAN』。“恩返し”は成功したようだ。
