「とにかく映画の虫だったので『何としても、もう一本は撮って死にたい』というのが口癖でした」
スポーツ紙の取材に、そう語ったのは女優・室井滋(67)。彼女のパートナーで映画監督の長谷川和彦氏が1月31日、誤嚥性肺炎による多臓器不全で、東京都内の病院で逝去した。享年80。
舞台関係者によれば、
「長谷川監督は、東京大学在学中に今村昌平監督の今村プロに入り、大学を中退しました。
映画監督として手がけた作品は、水谷豊と原田美枝子が主演した『青春の殺人者』(’76年)、沢田研二主演の『太陽を盗んだ男』(’79年)。
50年間で2本と非常に寡作ですが、両作品とも日本映画界に多大な影響を与え、“3本目”が待ち望まれてきました。豪快な人柄で、多くの映画関係者から慕われていました」
プライベートでは室井と事実婚関係にあったことでも知られている。監督自身は彼女との事実婚生活について、本誌インタビューでは次のように語っている。
「私が室井と知り合ったのは、雑誌『ぴあ』が主催した審査委員会のことでしたよ。
なんだか元気がいいお嬢さんだなぁと思って、一緒に生活が始まったということです」(本誌’99年2月16日号、以下同)
すでに長谷川監督と前妻の離婚は成立していたが、室井と入籍していない理由についてはこう明かしていた。
「入籍しないのは、彼女の室井という姓を残しておきたいからなんですよ。室井姓は富山で10代も続いた名家らしいのですが、両親も早くに亡くなって、生き残りは彼女だけになっているようです。そういう姓を捨てられないというのは、私も同じ考えです。
それで私も真面目に、夫婦別姓でも結婚できるようになればいいなぁと思っているところなんです。ちょっと前に、その法案が国会を通りそうになったころ、けっこう期待していたんですが、なかなか難しいようですなぁ」
当時、長谷川監督は53歳、室井は40歳。結局それから四半世紀経過しても法案は成立せず、2人は入籍にいたらなかった。
晩年の長谷川監督は東京都内の高齢者施設で生活していた。監督と古くから交流のある映画関係者は次のように話す。
「2~3年前からゴジさん(監督の愛称)は、高齢者施設で暮らしていました。一昨年にゴジさんから、“連合赤軍事件にまつわる(映画の)脚本を書いているから、見に来てくれないか”という連絡があって、初めてその施設を訪ねました」
同施設のHPによれば、この施設の月額費用は40万円以上。介護スタッフが毎日の健康管理を行っており、提携医療機関の訪問診療もあるという。
