[E:note]ところで1、2月は長崎、北海道、東京、大阪の4ヵ所でアコースティックライヴを行なったんですよね。何か成果はありましたか?
0806151安藤 これまではライヴについて迷いがあったんです。でもこのアコースティックライヴをやったことで、歌うというのは裸になるということなのだと痛感しました。アコースティックだと音数が少ないので、バンドに頼った盛り上がりが作れません。だから歌の持つ感情の起伏が非常に大切になるし、そういう意味ではより裸にされて勝負している感じはすごくよかったです。演出や照明、曲順も大事だけど、それ以上に私は歌うということに終始しなきゃいけないんだ、という想いを新たにしました。
[E:note]そのような想いを抱けたのは大きかったですね。今回はマーチンを購入してギターの弾き語りにも挑戦したとか。
安藤 私、ライヴでもテレビの収録でも、緊張の仕方がうざいんです(笑)。うざいくらいにできなくて結果が残せなくて、ディレクターにも「裕子は人前に出ないほうがいいな」なんて言われて、落ち込むことが続いていました。でもここで終わりたくないと思って、自分に課題を与えたんです。それがギターの弾き語りでした。実際のステージでは誤魔化し放題でしたが(笑)楽しかったです。デビュー前の曲も演奏して、ひとりで懐かしかった(笑)。
[E:note]ファンの皆さんはとても喜んだでしょうね。
安藤 それなりに(笑)。プレミア感はだいぶあったのではないでしょうか。
0806152_2[E:note]緊張感を克服して、体力的、精神的にタフになったと思いますか?
安藤 少しは。昔はライヴの打ち上げに行けなかったんです。ライヴ中は“主役”なのに、ライヴが終わったらバンドの皆やスタッフに「じゃ、裕子、気をつけて!」と言われて、ホテルに帰って出前やお弁当を食べるという。むなしかった……(笑)。でも最近は体力的に余裕が出てきて、打ち上げに参加できるようになってきました。少しライヴに慣れてきたのかな……。いや、まだ慣れないけれど、ライヴが終わってドッと疲れたり後悔してしまう自分に慣れたのかもしれません。
[E:note]6月7日からは東京SHIBUYA-AXを皮切りにツアーも始まりますね。ツアータイトルが「Encyclopedia.(百科事典)」と、アルバムタイトルと違うのは何か意味が?
安藤 そのへんを突っ込まれると非常に困るんですけど(笑)、まあ、響きですね。年代記につづき、「安藤事典」ということかな。
[E:note]ツアーに対しては今どのような想いがありますか?
安藤 全部の公演ひたすら歌いきろうと。歌いきれたら思い残すことはないですね。
[E:note]今年は音楽活動を始めて10周年ですが、振り返るとどのように感じますか?
安藤 歌を始めたころは、なんだか誰かの人生に起きた出来事のような気持ちでした。でも、10年歌ってきて、歌うことが自分の生活に根づいたと思います。歌を歌って暮らす自分の今をとても幸せに感じています。(撮影/徐 美姫  インタビュー/堀 香織)

0806153安藤裕子/あんどう・ゆうこ 77年、神奈川県出身。03年、ミニ・アルバム『サリー』でデビュー。05年秋、CMソングになった「のうぜんかつら(リプライズ)」でブレイクし、同曲を収録した2ndアルバム『Merry Andrew』がオリコントップ10入りとなる。5月21日、4thアルバム0806154_3 『chronicle.』がリリースされたばかり。6月7日よりツアーAndo Yoko Live 2008 ”Encyclopedia.”が東京、仙台、札幌、広島、大阪、福岡、名古屋で行われる。詳細はhttp://www.ando-yuko.com/

『chronicle.』
5月21日発売/3,400円
エイベックス・エンタテインメント

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