02 [E:note]『守りたいもの』を作詞されたのはいつごろになるのですか?
普天間:2007年が明けてすぐのころです。近頃は、あまりにも世の中で命に関する悲しいニュースが溢れているからなんですね。家族の中で殺人事件があったり、通り魔的な、無差別殺人があったり、あるいはまた、自分で命を絶ってしまうニュースがあったり……。もちろん報道ですから、どうしてもそういうところにスポットが当たってしまうのかもしれません。でも、あまりにも多くて、何でこんなことが起こるのかなぁと、やりきれない思いを持っていたのですよね。

[E:note]確かに、日々「やりきれない」と暗い気分になることが増えましたね。
普天間:こういう時代だからこそ、私たちは本当に大事にしなきゃいけないモノが何かあるんじゃないかと思うんです。そう私自身が自問自答する中で、音楽でもう一度、みなさんが自分にとっての守りたいものを思い直せないか…。そのきっかけになるような歌を届けたいと思ったのがこの曲を作ろうと思った動機でした。

[E:note]ライブで『守りたいもの』を歌い続けている中で、作った当初の心境と今とでは歌詞の表現の仕方など、何か変わっていくこともあるのでしょうか?
普天間:やっぱり少しずつ、表現方法の歌として変わっていくと思いますね。でも、もともと書いたときの思いというのは明確に強いものがありましたから、いつもそれをしっかり届けようと想って唄っています。そう考えれば、大きな変化はないのかぁ…とも思いますが、ただ、1年唄っていく中で、いろいろなところで、いろいろな方がこの曲と出会って下さり、また、(この曲に対して)寄せられる声がものすごく熱いものが多いんですね。良い曲ですね、声がステキ…というのもうれしいのですが、それだけでなくて、聴いた人それぞれの人生の中に寄り添っている、といった要素がすごく多いようなんですよ。

[E:note]「歌が人生に寄り添う」とは、どんな意味でしょうか。
普天間:たとえば、寄せられた声の中である主婦の方のエピソードがとても印象に残っています。その方の旦那様が大病で入院してしまい闘病生活を続けているとき、ちょうどクルマで病院に向かう途中、ラジオで『守りたいもの』が流れてきたそうです。聴いていくうちに涙が止まらなくなり、運転ができないほど震えてしまった…。そのときに、自分にとっての守りたいものを考え、それがご主人であるとか、病気が果たして良くなるのかどうか、あとどのくらい2人で一緒に過ごせるのだろうか…。「『守りたいもの』の歌詞を辿っていると、言葉がそのまま自分に返ってきて涙が止まらなかった」というメッセージでした。

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