[E:note]4年前ですか、私もほかのメンバーの方々の卒業コンサートをずっと見させていただいていたので、当時、矢口の卒業コンサートを見られなかったのは正直、残念でした。矢口:そうですね、突然でしたからね。まあ、あのことで「自分への試練」ではないんですが、2年くらい歌わない時期がありましたから、そのときが精神的にいちばんきつかったかなぁって思います。ハロー! プロジェクトのコンサートで司会だけやって帰ってくる日とかは、みんなが歌っているなかで「私は司会だけか……」って思って辛かったですよね。[E:note]矢口さん自身、ずいぶん辛い時期があったんですね。矢口:そうですね、でもその時期を「これも試練」と思ってなんとか乗り越えられて、そこからですよね、じょじょにハロー! プロジェクトのコンサートに参加させてもらえるようになって。ま、本当にみなさんからのいろんな意見もあり、叩かれもしましたけど、私は自分のやり方でいままでけっして手を抜いたことがなかったし、とにかく何をやるにも一生懸命やっていれば「きっと誰かが見ていてくれるだろうな」と。何を言われても、仕事に対してまっすぐやってきたから、悔いはなかったですね。[E:note]テレビのバラエティやトーク番組を見ていて、矢口さんはトークが上手だなぁと感心していましたよ。矢口:いや~! ぜんぜんです。ふつうのことしか言えない。バラエティは奥が深いな、と思っていますし、アーティスト活動よりもバラエティのほうが過酷でした。[E:note]劇団ひとりさんとやられている『やぐちひとりC(マルシー)』(テレビ朝日系)も長くなりましたね。矢口:おかげさまで5年間、モーニング娘。にいたころに始まったので、長く続いていますよね。最初はも~、お互い人見知りなので「どうしたらいいかわからない!」みたいな空気だったんですよ。それがまた、逆に新鮮だったんじゃないかなぁとは思いますけど、最近はお互いの性格や好き嫌いをわかってきたので、収録というよりは久しぶりに会った友人とめっちゃおしゃべりをしているような感じです。自分の素の部分がいちばん出せている番組じゃないかなぁと思いますね。[E:note]そんなふうに、この4年間バラエティやトーク番組で努力を重ねていたところに、今回のシングル発売の話が天から降ってきたわけですよね。最初にこの話を聞いたときはどんなお気持ちでした?矢口:最初は嘘だと思いましたよ、「きっと番組上のトークなんだろうなぁ」と。でも、そういうお話がちょっとでも出たのはうれしいなぁって感じで。曲をもらうまではまったく現実感がなかったですよね。[E:note]夢にまでみた歌手活動ですものね。矢口:いただいた曲を聴いたら、それがまたものすごくよい曲で、私の過ごしてきた日々を追っているような歌詞なんですよ。曲を聴いて初めて「これが自分の曲となるんだ」、「本当にCDを出すんだ」と、ものすごくうれしくなって、そのときが、いちばん実感がわきましたよね。何度も聴いて、何度も泣いた。仮歌が男の人だったんですけど、「この人の声でCDを出したらいいのに」って思ったくらい(笑)。しばらくそれを毎日聴いて過ごしていましたよね。[E:note]「過ごしてきた日々を追っている」というのは、『青春 僕』の歌詞のどの部分でしょう?矢口:自分に当てはまるところがすごくたくさんあった、というか。Bメロの「♪~時には間違える 事もあるだろう 大事な人を失う事も ゆれ動く青春のせい~♪」とあって、これはまさしく自分への歌というか、モーニング娘。時代のときのことだなぁと思いましたね。あとは、最後の「♪~愚痴を言うより 夢を語ろう 涙するより 笑いあおう~♪」っていうところがすごく好きで。口に出したらフツーのことなんですけど、あまり改めて言うことがないような。本当に心からいいなぁって思うフレーズがたくさんありますね。「私には本当にもったいない曲だな」と思うし、この曲を歌わせていただけることにすごく幸せを感じています。撮影/徐 美姫