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――前回『シリーズ人間』(07年末)に出ていただいて以来、2年ぶりの取材になります。

「そうですね、あのときは愛のある記事をありがとうございました」

――今回は『エンタ@jisin.jp』のコーナーで、アルバムについてのお話をメインにおうかがいします。

まずは今回、ユニバーサルさんに移籍なされたということで、おめでとうございます。どのような経緯だったのでしょうか。
「ウチのマネジャーがよく行くお店で友人を介してユニバーサルの担当さんと懇意になったんです。そのなかでこういう話になっていった。政治的なものじゃなくて、夜のお店で始まったんです(笑)」

――いちばん大きく心を動かされた点というのは?

「大きかったのは、スタッフの情熱ですね。会社が大きいのは確かに魅力なんですが、担当の人がイマイチだとそれを活かしきれない。ハードも大事だけどソフトも大事で、担当の方々の熱意がガツンと来るものがあった。直感ですけど、一緒に闘っていける人たちだなと思ったんです」

――これまでは、移籍の話はなかったんですか?

「ありましたけど、長年お世話になったP‐VINEさんを気に入ってましたから。メジャーだから、インディーズだからということではなく、居心地がよかったんです。ただ、だんだんP‐VINEさん自体も体制が変わってきて、お互い10年前とは違う状況になってきたんですね。
CKBがCKBでありつづけるためにも、ちょっとこのままではいけないかなという危機感を持ち始めていたんですが、ちょうどそのタイミングに、今回の話が来たんです。どういうことかというと、スタッフの『YES』『NO』に対して、こちらも聞く耳を持てるような状況が欲しくなったんですよ。
このままじゃ、自分がお山の大将というか、井の中の蛙になっていくんじゃないかっていう危機感が、数年前からここに至るまで、大きくなってきていたんです。自分がどの立ち位置にいるのかがわからなくなってからじゃ手遅れなので、迷走する前にこの流れを変えてみたかった。それが正直な気持ちです」

――CKBは規格外。規格外のものを世間に結びつけておくのが、新しいレコード会社の役割でもあると。

image「それもありますね。僕には僕なりの方法論というものがある。その一方で、売り方のプロではないという現実もある。餅屋は餅屋で、それぞれの(スタッフの)知恵と工夫を結集してやっていけたらもっと強いんじゃないかと。いままでは、会社が大きくなかったから、『絶対に売れるものをやらなければいけない』というプレッシャーや責任感がすごくあった。そうしないとすべてが終わってしまう。
でも、自分のなかで考える『絶対売れるもの』というのは、必ずしもマーケットと折り合いがつくとは限らない。何から何まで自分で考えなければいけなかったから、自主規制もこちらでしなければならなかったんですね。でも、これからは、『最高の作品出して行きますんで、とにかくそれを多くのリスナーの耳に届けて下さい!』という分担ができるようになったので、集中して音楽に向き合えるんですよね」

――いまのお話で、今後は活動が拡大するんだろうなという期待は大きく持てます。逆に、変わらないことを期待するオールドファンもいると思いますが。

「そこは保障できない部分というか、僕は変わりたいとも、変わりたくないとも思っていないんですよ。アルバムごとに、非難も励ましも両方、同じくらいあるんですが、そもそもCKBの音楽というのは頭で考えて作っているわけじゃなくて、勝手に『出て来る』ものなんですよ。
宇宙だか、異次元だか、どっかから勝手に飛んでくる電波のようなものをキャッチして、それをアウトプットしている感覚なんで、変えようと思って変えているわけではない。それが自分の体質であって。
これから何が出るか、自分でもわからないしね。今日思ったことは明日、違うかもしれない。今回のアルバムも、やるまでこんなアルバムになるとは思わなかったんです。事前にコンセプトを立てたわけではないし、『作る』んではなく『出す』という感覚で、出たものがいわゆる『作品』になるんです。
狙ってできるものではないから、狙わずに、とにかく、ブルース・リーの言う 『考えるな、感じろ』だね。
そして、ファンに甘えない。ファンにぶら下がらない。ファンを安心させてはいけないという気持ちも重要です。期待に応えてばかりいると、回転しないお店みたいになっちゃう。音楽は『流れ』ですから、清流、濁流、激流があって然るべき。そもそも『ファンの期待に応える』なんて発想自体、ファンをナメてるようなもんですよ。スケベ根性で、ダブルスタンダードに片足こっち、片足あっちなんてケチなことやってると、どっちも失うでしょ。そこはもうイチかバチかの大博打で行かないとね(笑)」

●よこやま・けん★

60 年横浜生まれ。クレイジーケンバンド・リーダー、歌手、作曲家。81年、クールスRCのボーカルとしてデビュー。97年春にCKB結成。05年『タイガー&ドラゴン』が同名ドラマの主題歌となり注目。9月12日には横浜開港150周年記念のライブを地元・本牧の横浜港シンボルタワーで開催する。

クレイジーケンバンド OFFICIAL WEB SITE
http://www.crazykenband.com/

アルバム『ガール!ガール!ガール!』8月12日発売
初回限定盤(DVD付き)3,800円(税込み) 通常盤3,000円(税込み)
シングル『ガールフレンド』発売中1,200円(税込み)
クレイジーケンバンド UNIVERSAL MUSIC OFFICIAL WEB SITE
http://www.universal-music.co.jp/ckb/
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