映画『オーシャンズ』日本語版主題歌『Sailing my life』を平原綾香とデュエットする話題の歌手登場!

映画『オーシャンズ』の日本語版主題歌、英国ドラマ『魔術師マーリン』二カ国語版のエンディング・ソングな
どを担当するなど、人気急上昇中の歌手・藤澤ノリマサ(27)。自身が生み出した、ポップスとオペラを融合した新スタイル『ポップオペラ』の誕生秘話から
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僕も同じICレコーダーを持ち歩いて、曲作りしているんですよ。電車の中でも、メロディーが思いついたら、1人で歌って録音しています。録音しないとすぐ忘れてしまいますから。さすがに人が多いときはできませんけどね。他の乗客に怪訝な顔で見られたこともありました(笑)。歌詞はカフェで書いてます。

記者がICレコーダーを取り出すと、先手を打って、藤澤が気さくに語り始めた。

―−ブログでよくカフェが出てきますね。
グルメ・レポートみたいになってしまって(笑)。本当はコーヒーが好きなんですけど、普段はのどにいい紅茶を飲んでますね。スイーツ系も好きですよ。

――映画『オーシャンズ』では、日本語版主題歌『Sailing my life』を平原綾香(25)さんとデュエットされていますね。
以前、まだ僕がデビューして間もない頃、綾香ちゃんのラジオ番組に呼んでいただいて、僕がピアノを弾いて『Jupiter』を綾香ちゃんが歌ったり、僕の曲をデュエットさせていただいたことがあったんです。それから交流が続いて、お互いのコンサートを観に行ったりしています。

――2人で作詞されていますが、大変だったのでは?
image最初は僕もそう思いました。試写を観て、テーマをまず決めることにしたんです。2人が共通して思ったことが、海って、ときには穏やかだけど、ときにはすごく恐ろしいものだということ。海には、喜怒哀楽のある人生と同じものがあるんですよ。だから人生にたとえて、海の無限さを表現したい。なおかつ誰でも理解できる簡単で、だけど深みがある背伸びをしないような歌詞を書こう、って決めました。

――どのようにして詩を書いていったんですか?
最初の2行を綾香ちゃんが書いて、次の2行は僕が書いて答える、というようなことを繰り返す方法でした。お互い携帯メールで。便利ですね。僕は景色から、綾香ちゃんは内なるものから攻めるように、詞の世界観が多少、違いますから、意見を言い合う形で進めました。そんな2人の思いが詰まって、『Sailing my life』、つまり、「人生の航海の途中」というタイトルに決まったんです。

――『オーシャンズ』で、好きなシーンは?
カニとシャコが対決するシーンが印象的でした。コブ鯛が泳ぐ姿など雄大な海の生物を記録した映画ですが、なんであのシーンを選んだの? って感じなんですけどね。北海道出身なので、カニには親近感を持っているみたいです(笑)。
東京国際映画祭の時、ジャック・ペラン監督とジャック・クルーゾー監督と直接お話する機会があったんです。撮っているときは大変ですよね。人喰いサメと恐れられているホホジロザメを間近で撮影したり。カメラクルーも命懸けです。その時、お二人が「大変だけど、作品が完成した時こそが、この仕事の最高の瞬間なんだよ」とお話しされていたのが、印象深かったです。「君たちはどんな時が最高なんだ?」と聞かれて、「映像と僕たちの音楽をセットで聴いて感動してくれたら、それこそが最高の瞬間」と答えました。ステージでもそうですよ。客席からの大きな拍手を聞きた時が、アーティスト冥利に尽きる瞬間ですね。

――藤澤さんの歌唱法は、ポップスとクラシックのパートが交互に続く、『ポップオペラ』という独特なスタイルですね。
『ポップオペラ』は有名なクラシックのメロディーと、ポップスの新しいメロディーを1曲に融合してお届けするという新しいスタイルです。
ポップスが好きな方もクラシックが好きな方も両方に楽しんでいただけるジャンルになっています。ポップスの発声法は、カラオケで口を横に広げて「あー」という感じ、クラシックは口を縦に「あー」という感じ。そこを切り替えて歌っています。よく、「どこかにスイッチがついているんですか?」と言われるんですけどね(笑)。

と、クラシックの発声が会議室に響き渡り、記者は圧倒された!

――どうして、『ポップオペラ』を歌おうと思ったんですか?
両親の存在が大きかったと思います。父が声楽家で母がうたの先生だったんです。そのおかげで、小さい頃から自然とクラシックを聴くようになりました。母の影響で、70〜80年代の歌謡曲も好きになりました。五輪真弓さんや竹内まりやさん、高橋真梨子さんなど、女性歌手の聴かせる歌謡曲が好きでした。元々、歌手志望だったのですが、ポップスの道か、クラシックの道か迷っていたんです。

――ポップスとクラシックを1曲で歌おうと決意したのは、なにかきっかけが?
image高1の夏、カナダへ1カ月間の語学留学をしたんです。リッチモンド・シティーという、バンクーバー五輪の開会式が行われた、BCプレイス・スタジアムから車で20分ほどの住宅街です。音楽の授業のとき、盲目の女性の先生が、「カナダの音楽をみんなで歌いましょう」とおっしゃって。まずはじめに先生が、セリーヌ・ディオンの『Let’s Talk About Love』をピアノで弾き語りされたんです。聴いた瞬間、全身に電流が走り抜けたような衝撃に襲われました。

――どんな意味での衝撃があったのですか?
J-POPと洋楽のポップスでは、メロディーラインが違うんですよね。J-POPは、1曲のなかにキャッチなメロディーがあったりと、メロディーが動くように思います。洋楽のポップスはメロディーの変化があまり多くない。平坦なメロディーのなかで、歌い方ひとつで、聴く者を感動させているような気がするんです。それで、クラシックとポップスという自分がやりたい両方をミックスした楽曲を作りたいって思いました。

――セリーヌ・ディオンといえば、映画『タイタニック』の主題歌『My Heart Will Go On』が印象的ですね。
留学当時、『タイタニック』が上映された後でした。実はセリーヌ・ディオンが歌っているとは知らなくて。日本に帰り、セリーヌのCDを買おうと、レコード店に行ってみると、『タイタニック』のポスターと共に彼女のCDが置いてあって。あ、こんなに世界的に有名な歌手だったんだと、初めて知りました。

――セリーヌ・ディオンのコンサートに行ったことは?
語学研修が98年。翌’99年にワールド・ツアーで来日したんです。ジャスト・タイミングみたいな感じでした。札幌の実家から、飛行機で上京して、東京ドーム公演を観ました。
日曜、月曜の2公演で、僕が観たのは日曜公演。本当は2公演とも観たかったのですが、月曜は学校があったので、日曜の公演が終わると、その足でなくなく帰りました。

――生で聴いた感想は?
声だけでこれだけ人を感動させることができるんだと。それまでの人生で一番の感動でした。「迷った」というひとつの大ヒントが、そこにはあったんです。歌手になりたいという目標はありましたが、セリーヌ・ディオンで、英語圏のポップスに出会ったことは、自分の中でポップスのさらなる魅力が増したんです。セリーヌ・ディオンがいなければ、迷うこともなかったでしょう。セリーヌ・ディオンがいなければ、今頃、僕はここに座っていなかったですよ(笑)。

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