横山剣 東洋一のサウンドマシーンCKBのNEWシングル&アルバムが発売!

――『女性自身』の取材は1年振りです。この1年は、昨年9月には本牧での野外ライブがありましたね。その後、どんな動きだったんですか。
image「ツアーに出て、カウントダウン興行、その後はベスト盤『鶴』『亀』の選曲や編集やリミックスをしていました。音楽以外にも実務があるんで、事務所には通ったりするんですけど、ニューアルバム『MINT CONDITION』に向けての創作自体は、今年2、3月くらいからです。浮かんだらそれを楽曲化する感じですからね」

――よくおっしゃるのは、「勝手に曲が出てきてしまうからしょうがない」と。いい状態がずっと続いていたんですね。
「そうですね。そういう状態になると、放っておいても出てくるんです」

――作家の方は、よく筆が止まってしまうことがあるといいますが、剣さんはそういうことはないんですかね?
「ああ、ありますよ。止まるときは、あんまり出てこないシーズンなんです。寒くなると比較的、出てこないですね、春夏ほどは。春から秋にかけて出てくるんです。
でも最近は冬でもあったかいことがあるんで、とにかく気温・体温があったかいときに出るんですよね。冬は苦手ですよ、家の中が『熱帯か!?』といわれるくらいにあったかくしていますから。家族の中で僕だけですよ」

――お誕生日(7月6日)に合う季節がやっぱり『イイ』季節なんですよね?
「そうですね。すごくいい感じになります」

――9枚目のアルバム『SOUL電波』のなかの『TIKI TIKI TROPICAL KINGDOM』にも『帰ってみれば日本は長い梅雨、梅雨が明ければ短い夏』というフレーズがありますね。
「そうですね、強迫観念に駆られるような、『夏って短いから、なんかしなくちゃ』っていうハラハラする感じにグッとくるんです。『ああ、今日も暮れちゃう、取り戻さなきゃ』っていうね」

――今回のアルバム『MINT CONDITION』に入っている『MOTTAINAI』にも象徴されるような出来事は夏にあるんですね?
「失って初めてわかるとか、失いそうになって初めてその価値に気づくということはあると思うんです。そう思っているだけでなく、実際に行動に移しちゃうので、それが歌になるということなんですね、CKBの場合は」

――さて、アルバムのタイトルからうかがいたいんですが、いわゆる「最上の状態の未使用品」というか「新品同様」という状態を指す言葉という意味に捉えてよろしいんでしょうか?
image「そうですね。僕らは新品ではないんですが、新品同様でいたいと思っている。フレッシュという気持ちはつねに持っているんです。経験の上に胡坐をかいてはいけない。『レスポンスよく、性能よく』ということを心がけたい」

――2曲目の表題曲、『MINT CONDITION』では、『年式は古いが――』というフレーズがあります。あれは車にたとえたものですか?
「そうです。車に例えるとこんな感じというね。確かに『1960年生まれだが――』という感じです。かつて、貿易の検査官の仕事をしていたときに、状態を表す言葉がたくさん書いてあった、そのうちのひとつがこれなんです。
それから、オークション用語です。楽器、中古車、時計……そういったものの目安の言葉です。ほとんどは嘘なんですけどね……『MINT CONDITION』と書いてあっても、錆びていたりだとか……。でも、僕らは嘘をつかないでね。まあ、やせ我慢や無理をするっていうことを含めて、『MINT CONDITION』と自分から言うことで、すこし無理をしているというね。
評価するのは、本当はお客さんや評論家だったりするんで、自分から言うのは本来、どうかとは思うけれど、真意は『新品じゃないけど、新品同様』っていう意味です」

――自分たちはあくまで『上げて上げて』という意気込みなんだと――。
「そうそう。無理矢理でも上げてないと、やってられないという、結構、身も蓋もない現実がありますし、アチコチ痛いし。
実際、アンチ・エイジングなんていう言葉がありますが、『実年齢を言うと痛い』とか、そんなことは思わないわけで。それをやっちゃうと、“いまNOWな扉”とかも絶対あるのに、そのグルーブを逃すことにもなる。実年齢に向き合うというのを、まずはファンダメンタルなものとして、『でも、新品同様だ』と。そこは自分を誤魔化さず」

――アンチエイジングというと、雑誌でもなんでもよく飛びつくところなんですが、それがいいいかどうかはわからなくて、みんながみんなそれをやるのはどうかなと。
「そうなんですね。必ずしもいいことばかりではない。女性なら分るけど、男性がそれを目指すのって、気持ち悪いですしね、あんまり身の丈に合わないことやっても座りがよくないし。向き不向きもあります。とにかくフレッシュなものも求めるというのは、その年齢相応なものがあると思う。
何も若いときと同じ刺激はいらないんです。いまだからこそ、刺激的なことはあるし、いまだに同じことに発情するということがあっていいと思う。僕の場合はモータースポーツでも興奮するし、ワールドカップを見ても、朝まで興奮して眠れないことがあった。熱くなっちゃいますね、しょうがないですね」

――男性も女性も、年齢相応の魅力があるというのが、剣さんの持論でもありますね。
image「そうです。年齢相応の魅力を、再発見しないことには、“もったいない”。今回の新曲は『1107』なんですけど、モデルみたいにイイ女という意味ではなくて、一生懸命やっている姿、仕事している姿、キチンと遂行している姿は、美しいと思うんです。
車で言うと、飾り立てた車より、レーシングカーのほうが美しいのは、走るために徹底した機能美を追求したからだと思う。女の人も、ドレスを着飾るのも素敵だけど、『お化粧なんかしてる場合じゃない』というような切羽詰まった状況で一生懸命やっている主婦仕様も素敵だと。
そういう目線がもうひとつあったんで、それで放っておけなくなって、歌詞に導入してみたんです。
なかなか、自分の奥さんにも好評ですね(笑)。『ああ、そこを見てくれているんだ』って」

――男と女から夫婦になるけれども、子どもが生まれると、母親になっていってしま
う。でもそれも美しいよということですよね。
「はい。それと、さっき言ったように、『いっしょに年を取っていくことの愛おしさ』っ
ていうのは、絶対にあると思うんです。2年ほど前にハワイに行った際、結婚50周年くらいの方たちばかりが集まった年1回のパーティにたまたま出くわした
んです。
老夫婦がチークダンスを踊ったり、音楽を聴いたり、レイをかけてあげたりして、最後には涙もという『二人三脚で走り抜けた』的な感動的なものを見ました。
こっちもウルウルしたんですが、そういう気持ちを『忘れちゃいけないな』と。
それはそもそも、結婚してくれたということ。特に僕らの商売だと、遊んではくれてもなかなか結婚はしてくれないですしね。現実を考えると、結婚してくれた
というだけで感謝しなきゃいけない。忘れないように、ときどき思い出して、『これじゃいけないな』と思うこと、『気づき』っていうのは大事だなと」

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