ウド鈴木 笑いなし!あの「ウドちゃん」が初の主演映画で高僧、一遍役に挑戦
(プロフィール)
うど・すずき★70年1月19日生まれ、山形県出身。91年、天野ひろゆきとお笑いコンビ「キャイ~ン」を結成。ウドのボケと天野のツッ
コミで一躍、人気コンビに。おもな出演番組に『もしもツアーズ』(フジテレビ系)、『リンカーン』(TBS系)などがある。
映画『一遍上人』
監督/秋原北胤
全国の劇場にて、順次公開
(公式サイト)http://www.kaerucafe.co.jp/ippenshonin/
――初主演の気持ちはいかがでしたか?
「今回は、一遍上人という役を演じさせていただきましたけども、ご先祖様もたいへんお喜びになっていると思います。僕の家族、仲間、天野くんも喜んでいます。
主演というのはたぶん、後にも先にもないと思うんですよ。自分がいくら(主演を)したいと思っても、まず無理なので、そういったプロジェクトを始動させて
いただいたのは、本当にありがたいですね」
――完成作をご覧になっての感想をお聞かせください。
「自分が出ていてびっくりしました。というのも、普段、自分が出ている番組は、怖くて見られないんですよ」
――見る勇気がないということなんでしょうか。
「ええ、そうなんです。自分自身を客観的に見るのは、非常にドキドキしまして。でも改めてこの映画を見て、一遍上人というお坊さんがどのように生きていったかということを、少し離れたところから見られました」
――自分が出演しているのを見ても、今回は客観的に見られた、と。
「はい。一遍上人と僕は、まったく人格が違う人物ですが、真逆だからこそ、この役ができたのかもしれません。僕は煩悩の塊で、欲にまみれていまして、楽しいことを優先して……。苦しいことから逃げてきたかのような人生ですから。陰と陽、というか」
――ということは、一遍上人との共通点はあまりないということですか?
「そうですね~。唯一、旅が好きだっていうことでしょうか。一遍上人も全国を旅されて、私もプライベートもよく旅をしていて」
――国内ですか? 外国ですか?
「僕はほとんど国内ですね。『嫁さがしの旅』っていうのをしていました。東京にはもう、自分を受け止めてくれる人はいないと思って。全国をいろいろ回って、振られて東京へ帰って来るんですよ。でも結局、実際に結婚した奥さんは東京にいたという(笑)」
――スタート地点がゴールだった……
「そうです。でも、いろんな土地に赴く中で、その土地のものを食べて、飲んで、たくさんの人と触れ合って、コミュニケーションを取ってきました。じつは一遍上
人も、それがあったから、全国を回ることが楽しかったのではないかと思うんです。たしかに大変だったでしょうね。交通網も今のように整備されていない中
で、歩いて、歩いて……という状況ですから」
――ウドさんが国内旅行をするときは、一遍上人のように徒歩ではなく……。
「それはもう、現代社会の文明の利器の最たるものを利用しました。パスモとスイカも全部、常備して、陸海空で移動しました」
――一遍上人の教えは『捨』にあるそうですが、演じてみて、ご自身の人生観や考え方にも影響が出ましたか?
「最終的に、人はシンプルになっていくのかなという感じがしましたね。恋愛や仕事、人間関係など、人生には執着してしまうことが多いんですけど、角度を変えて
見ると、さほどこだわらなくてもよかったりすることが多いんですよね。少しタガを外してしまえば、今までのことは何だったんだろうと、そう思うようになる
のかなと思いましたね」
――先ほど、ご自身を『煩悩の塊』とおっしゃっていましたが、一遍を演じて『捨』の境地にたどり着いたと思いますか?
「いえいえいえいえ! 僕、自分には最大限に甘いので」
――今回は、トレードマークの金髪モヒカンを“封印”した役です。でも特殊メークで髪を隠し、スキンヘッドにはされなかったんですね?
「この髪形をつくっていただいて、およそ20年が経つんですけど、もうこれは僕にとって『源』というか、『命』というか。だから、そこ(スキンヘッドにするこ
と)には踏み切れなかったんですよ。(相方の)天野くんには『「なんでスキンヘッドにしてるの?」って聞かれたら、「映画の撮影をしてました」って答えら
れるから、宣伝になっていいじゃないか』と言われました『スキンヘッドにして、(必要なときに)黄色いもの、たとえばバナナの皮でも乗せておけば大丈夫だ
よ』というアドバイスももらったんですけど、バナナの皮では、頭がしっとりしてしまいますから」
――今後もオファーがあったら、どんどん役者業をされていくんでしょうか?
「やりたいですね。ただ、(自分を起用する)監督さんは戸惑うこと必至だと思います(笑)。今回も、僕のまわりの人たちが相当、戸惑っていましたから」
――最後に見どころも交えて、作品のPRをお願いします。
「一遍上人がなぜ、厳しい状況の中で旅をしたのかというと、たぶん、人のためだと思うんです。自分が生きているうちに、人のために何かしたかったんだと。非常
にまっすぐな、でも、強くて優しい、素晴らしい生き方が描かれています。見ることで、自分やまわりと向き合える作品になっていると思いますね」