阿久津槇太郎&井上正大のW主演で挑む人気ミステリー『青空の卵』が初のドラマ化!

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『ひきこもり探偵シリーズ』で知られる連作短編集『青空の卵』が初のドラマ化。自称ひきこもりのコンピュータープログラマー・鳥井真一と、その友人で生命保険会社勤務の坂木司は、2人の周囲で巻き起こるさまざまな事件の謎を解き、人との出会いを通して成長していく。

ひきこもり探偵、鳥井真一に、’09年、D-BOYSオーディショングランプリを獲得。今年4月、舞台『淋しいマグネット』で瀬戸康史とダブルキャストで出演した阿久津槇太郎。本作が連続ドラマ初主演となる。

そしてもう一人の主人公であり、物語の語り部となる鳥井の同級生・坂木司を演じるのは、『仮面ライダーディケイド』で注目を集めた井上正大。

今回は、この主役の2人に作品の魅力や撮影エピソードを聞いた。

*作品紹介:

ドラマインソムニア『青空の卵』
BS朝日放送にて毎週土曜・深夜1時30分~放送中

*プロフィール:

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阿久津槇太郎
あくつ・しんたろう

95年6月21日生まれ。栃木県出身。身長177㌢
ワタナベエンターテ
インメント所属。同事務所所属の男性俳優・タレントで構成される集団D2のメンバーである。’09年、「第6回D-BOYSオーディション」でグランプリ
を獲得。’10年8月、 D-BOYS STAGE2010 trial-2『ラストゲーム』で舞台デビュー。今年4月、 D-BOYS STAGE
10th『淋しいマグネット』、7月には、主演舞台『クリンドルクラックス』が上演された。

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井上正大
いのうえ・まさひろ

’89年3月20日生まれ。神奈川県出身。身長182cm。
’08
年年6月、ミュージカル『ミュージカル・テニスの王子様』で俳優デビュー。翌年1月、『仮面ライダーディケイド』で主人公の門矢士/仮面ライダーディケイ
ド(声)を演じ、脚光を浴びる。同年8月に公開された『劇場版 仮面ライダーディケイド
オールライダー対大ショッカー』で映画初主演。今年5月、主演映画『リアル鬼ごっこ5』が公開された。

 

―『青空の卵』の出演が決まり、お2人が初めて台本を読んだときの感想を教えてください。
井上:台本は9話分もらって、一気に読んでみました。最初に思ったのは、鳥井と坂木は本当に仲がいいな、と。今の時代、2人のような“魂の付きあい”ができる人たちは、そういないと思いますし。互いに成長していける関係というのも少ないんじゃないかなあって思うんです。あそこまで仲が良くて、お互いのことが好きで、メンタル的に「アイツがいないと生きていけない」といった関係を、僕はいいなあと思いました。
阿久津:僕は、初めての連続ドラマで、しかも主演ということもあって、最初は正直、たくさん不安がありました。でも、台本を読んでいくうちに、鳥井が人と関わることがあまり上手じゃないという大きな括りもそうだし、世の中に対して、「違う!」と思っていることを言えずにいるところが自分自身と重なって、それが逆に自信になりました。キャスティングが決まったとき、監督から「原作を読んだときから、この役は阿久津君しかいないと思いました!」と言ってもらえたのは、うれしかったですね(笑)。

―実際、阿久津君と話した印象と、鳥井のキャラクターが違うように感じたんですけど、重なる部分のほうが多かったんですね。
image阿久津:僕は、もともとコミ障(コミュニケーション障害)なんです。中学2年生で芸能界に入って、芸能界の荒波にもまれて、人見知りが治ったのかな(笑)。「矯正ギブス装着!」 巨人の星的な感じです(笑)。今でも初対面の人とはあまりしゃべれないですけど、昔はもっと、人の目を見て話せなかった。今は逆に、相手の目を見過ぎてしまって、「何、見ているの?」って言われるほうが多いくらいです。

―井上君は、役の設定やキャラクターで坂木に共感する部分はありましたか?
井上:僕も坂木と同じように親友がいますし、そういう意味では、境遇が近いのかなあと思いました。彼らには何でも話せるし、昔から一緒にいる仲間たちと会うと、なんか心が震えるんですよね。
阿久津:カッコいい!
井上:会っているともう! 自分が違うのがわかるんです。底知れぬパワーがわいてきて、「どこかに行こう!」「 アレしよう、コレしよう!」って、次々と面白いことができる。逆に、積極的になりすぎてしまうというか、誰かにその衝動を抑えてもらわなきゃならないほどで(笑)。だから、坂木と鳥井の関係性に共感できない部分はまったくなかったですね。ただ、『青空の卵』のマンガの方を描いている作家さんが、“BOYS LOVE”に定評がある方だと聞いて、そういう要素もあるのかな?って思っていました。

―私個人の感想としては、ドラマを見て、BOYS LOVE的な雰囲気はそれほど感じませんでした。
井上:そうなんです。僕もまったくそれは感じなかったんです。
阿久津:僕、BOYS LOVEって、男と男が愛し合うんじゃなく、“友情がこじれた形”なんだ、と気づかされたんです。“いきすぎた友情”みたいな、同性同士の友情がこじれるってすごくないですか? あくつ、この結論にたどり着きました。めっちゃ、深くないですか!
井上:お~、急にきたぞ(笑)!
阿久津:でも、すべて、すべてが納得できるんですよ。

―阿久津君は、鳥井にとっての坂木のような、親友と呼べる存在はいますか?
阿久津:「親友? 何それ、美味しいの?」みたいな感じです。

―それはどういう意味ですか(笑)?
image井上:僕がじゃっかん解説しますと、
阿久津:通訳、通訳!
井上:彼はこう見えて、じつはオタクで、17歳ながら“嫁”がいます。
阿久津:戦場ヶ原ひたぎ先輩(『化物語』)です!
井上:画面からは出てこないんだよね。
阿久津:恥ずかしがり屋だから。でも、親にもちゃんと紹介しています。
井上:それと、彼が好きなイベントはコミケで、コスプレが趣味なんですよ。
阿久津:いろいろやりますよ! 最近は、“初音ミクお”をやりました。
井上:阿久津の携帯には、コスプレ画像がたくさん保存されています。
阿久津:現代っ子です。

―外見から想像つきませんでしたよ(笑)。イケメンのオタなんですね。
井上:そうなんです。本人は気にならないようなんですが、話す言葉がヲタク用語なので、表現が個性的で。だから、そういうことを踏まえて、さっきの言葉を解説すると、「親友ってすごくいい関係のこと? ワクワクしちゃう!!」って感じですね(笑)。
阿久津:僕、親友がほしくて高校に入ったんです。でも今、ちょっと中途半端な感じなので、大学に行って見つけようかなあ、って。あくつは、「一緒に帰ろう!」って言わなくても、一緒に帰ってくれる友だちがほしいんです。

―気のおけない仲ってことですね。
阿久津:すごい願望というか、憧れです。

―ドラマの話に戻ると、芝居の面で難しかったところはありますか?
阿久津:鳥井が取り乱すシーンです。順撮りじゃなかったので、そこに行くまでのシーンをまだ何も撮っていなかったので、「どうすればいいの?」という感じで。妄想したり、ちょっと違うパターンで演じてみたりしてクリアしました。

―役作りはどのようにしているんですか?
阿久津:撮影現場に入る前に、ある程度、演技のプランは考えてきますけど、じっさいリハでやってみて、自分が想像していたものと違う感情が芽生えてくることもあるので、アンテナを高くしてやっています。

―好きなシーンはありますか?
阿久津:鳥井のキャラは、子どもでもなく、大人でもなく、黒白はっきりしてないという設定だったんです。そういう部分がちゃんと出せたと思ったときに、「キターッ!」って思いました(笑)。

―井上君は演じていて、苦労したシーンはありますか?
image井上:過去の回想シーンは大変でした。中学生の設定のときは、「中学生? エッ~!」って思いました(笑)。僕は今、23歳なので、こんなデカイ中学生いる?って。

―年齢とことを考えると、阿久津君は17歳ですから、実年齢では6歳年の差がありますけど、同級生という設定は違和感なかったんですか?
井上:そういうことはまったく感じなかったですね。
阿久津:僕も17歳なのは、戸籍上のことだけだと思っています。落ちついている部分はありますけど、中学2年生の心は忘れずに生きています(笑)。

―作品の世界観の魅力はどういうところだと思いますか?
井上:『青空の卵』の世界観は、そのまま鳥井と坂木の世界観だと思います。順撮りではなかったですけど、3話ずつの撮影を見ていくと、最初、鳥井と坂木の2人しかいない世界に、どんどん人が増えていきます。2人の友情物語が、この作品の世界なのかなあ、と思いながら演じました。

―坂木はすぐにいろんな人と関わる性格でしたね。
井上:営業職なので(笑)。確かに、人を放っておけない性格ではありますが、基本的に鳥井がいないとやっていけない。坂木がコミュニケーション能力に長けているのも、鳥井がコミュニケーション能力のないせいで、そのぶん坂木が頑張っているんです。坂木は、鳥井の存在がなければ、そこまで頑張れない。

―阿久津くんは、作品全体を通して感じたことは?
阿久津:鳥井は、世の中に対する理不尽とか、自分が認めてもらえないという不安を抱えているんです。それってたぶん、この世の中、同じように思っている人もたくさんいると思いますし、登場人物がそういう悩みを抱えているからこそ、このドラマは、癒やし系ミステリー言われているのだと思います。見る人は引きつけるというか、見ていてすごく温かくなる。また、鳥井と坂木の関係は一見完ぺきに見えるんだけど、じつは欠けているものがあって。それがエピソード1、2と進むうちに、2人に関わる人たちが、2人にないものを持ってきてくれるんですよ。それでまた、2人の関係が濃くなり、深くなっていくのが見どころだと思います。

―もし、2人の役が逆だったら?
阿久津:ムリッ~! たぶんお芝居になっちゃう。
井上:阿久津君の鳥井を見たら、できないですよ。別のものになっちゃうじゃないですか。
阿久津:演じることはできますけど、その上で何もない気がする。

―阿久津くんは、鳥井を演じていたわけではないと?
image阿久津:そうですね。演じよう! というんじゃなくて、現場で生まれたものを大事にしました。自分がキャスティングされたことを考えると、もし、演じるのであれば、自分じゃなくても、自分より演技が上手い人はいっぱいいるし、顔がもっとイケメンで性格のいい人もいっぱいいるので、その人にお願いすればいいと思うんです。でも、自分がやるということは、自分にしかできないものがあるんだ、と。それを見せられなかったら、やる意味がないと思います。

―2人は今回初共演なんですよね。初対面の印象は?
阿久津:井上君は、あくつがなりたい姿だなあって思いました。
井上:そんなことないだろう(笑)。
阿久津:あくつは、明るく生まれてきたかったんです。外に出て、「みんなで川に行こうぜ!」みたいな感じを憧れていました。井上君はキラキラしています。お花が咲いているんです。そういう人のところに、人は集まってくるじゃないですか! そして、そんな人が性格悪いと、マジでイヤなんですけど、井上君は性格が悪くないから。
井上:性格悪いって基準は?
阿久津:なんだろう、薄っぺらい人は好きじゃない。何でも、ハイ、ハイと返事している人って、一見、感じよさそうで、じっさいは何も考えていなさそう。たとえば、詐欺に遭ったって言ったときに、相談に乗らない癖に、「頑張って~」みたいな上っ面なことを言う人。

―井上君は、阿久津君の初対面の印象は?
井上:最初、静かなコかなあと思って、仲良くなれるかな?って不安でした。でも、めちゃ明るくて、さっきの、パンチのある“嫁”の話をしてくれたので即効で打ちとけましたね。「しゃべれるかな?」っていうレベルではなく、僕の興味が勝って、阿久津ワールドに引き込まれました。いつも頭が「?」ばっかりで、現場ではいつも「?」を解消する作業でした。まだ、解消できてないこともあるというか、日々、彼は進化して、深くなっていくから。今日また、久々に会って、どこが深くなっているのかな~?って思っています。

―俳優としてはいかがでしたか?
井上:「このドラマをやるんだ!」っていう気持ちが強い人でしたね。だから、やっていて楽しかったです。
阿久津:僕は、やっぱり、井上君のコミュニケーション能力がすごいなあって。
井上:うそ、ぜんぜんないよ、俺。
阿久津:若いのにしっかりやってると思いました。

―『青空の卵』は、自分にとってどんな作品になりましたか? 発見や自分の成長を感じたことは?
image井上:毎回そうなんですけど、作品が終わった後、楽しかったっていうことがないんですよ。満足感が得られないというか、逆に、「もっと○○だったらな~」と思うことが多くて。俳優として何か成長できたかどうかは、正直、わかりません。本当に、毎回、反省ばっかり(笑)。新しい作品で何か発見すると、前の作品の中に反省すべきことを見つけちゃうんですよ。

―阿久津君は?
阿久津:一緒にするのもどうかと思うけど、これまで演じた役は、薬物中毒だったり、知能障害だったり、今回もコミュニケーションが苦手という、この手の難がある役が多かったんです。今まで舞台が多かったので、今回映像をやって思ったことは、舞台は目の動きまで見られていないから、顔を動かさなきゃならない。でも、映像は目の動きまで細かく追っているから、掘り下げることができたなあって感じです。今まで自分がやってきた役を映像でやることによって、細かいところまで詰められたというか、厚みが増したように思います。

―今年の夏はどんなふうに過ごしましたか?
井上:作品を撮っていたので、これからが夏って感じなんです。とりあえず今は、旅に出たいですね。第一目標は、石川県の能登半島で、理由は、そこがパワースポットだと聞いたからです(笑)。お金があったら、沖縄や屋久島に行きたいですね。あと、できることなら、坊主頭にしたい。作品が終わったので、ふだんができないことをガ~ッとやりたい気分です。やったことないことをすることで、「何か変わるかな?」という好奇心ですね。
阿久津:僕は、とりあえず、もっと家にいたいです。だって、この夏は、アニメ見てないんだもの! 今年は、コミケ行ったり、大阪、名古屋に舞台の公演で行ったり、すごく活発だったなあ。だから、朝起きて、そのままの格好でまた寝る、みたいなことをすごくやりたい。休みの日、カーテンを閉めて、ご飯もあんまり食べずにアニメを見ていたい! それを3日くらいやりたいですね。

―今後、どんな役を演じてみたいですか?
阿久津:もっと自分にしかできない役を見つけたいですね。絞るわけじゃないですけど、爽やかな髪形をして、爽やかな役のオーディションを受けても受からないので、辛いです(笑)。だから、それをやろう!っていう。爽やかもできるんだぜ~! あと、実年齢の役がやりたいです。今まで、25歳、26歳とか、逆に小学生とかの役が多かったから。

井上:僕は、そういうことを聞かれるたびに言うことが変わるんですよね。これまでは、野球とかアクションがある作品をやりたいと思っていたんですけど、今は普通の役がやりたいです。普通の感情で、普通の動きをする。あるいは、〝優しい役〟というか、その人自体が優しいというより、優しさの上に何かある。怒るにしても、相手を思っている上での行動をとるような。この間、終わった『僕の夏休み』というドラマで演じた和也がそういう役だったので、もう一度、やって掘り下げてやってみたいですね。 

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