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骨太な社会派ドラマを描き人気を得ている、「連続ドラマW」で、6月より『震える牛』が放送される。吹石一恵は、食品偽装問題や企業の隠蔽などを、主人公の刑事・田川(三上博史)と追う、ニュースサイト記者・鶴田真純を演じる。

ふきいし・かづえ☆

82年9月28日生まれ。奈良県出身。97年、『ときめきメモリアル』で映画デビュー。近年は、映画『紀子の食卓』(06)、『ゲゲゲ
の女房』(10)の主演作や『バラ色の聖戦』(テレビ朝日系)などドラマでの主演も増えている。10月に『菜の花ラインに乗りかえて』(NHK
BSプレミアム)の放送、12月に映画『永遠の0』の公開が控えている。

連続ドラマW『震える牛』

wowowプライム6月16日(日)放送スタート
毎週日曜よる10時[全5話]
特設サイト:http://www.wowow.co.jp/dramaw/furueruushi/

――「ドラマW」は、骨太で社会派の作品を手掛けることで知られていますが、『震える牛』の脚本を読んだ感想をお聞かせください。
「出演者ということを忘れて、読みものとしてドキドキ、ハラハラしながら最後まで一気に読んでしまいました。自分のセリフのチェックよりも、次の展開が気になってしまって(笑)」

――作品のテーマは『食品偽装』『狂牛病』『企業の隠蔽』ですが、作品を通じて、それら問題について感じたことはありますか?
image「世の中には、知らないことがいっぱいあるんだなぁと。食べることは生きることだと思いましたが、どこまでを気にしてどこからを気にしないでというのも、それぞれ、個人に任せられているのかなと思いました」

――今回、吹石さんが演じる鶴田真純という女性は、どういう人なんでしょう?
「とにかく正義感の塊みたいな人。以前は新聞社にいて、今はネットで記事を書いている記者なんですが、それは過去に正義感を貫いたゆえの結果で。その過去も、ドラマの中で描かれています。彼女はずっとそれを引きずっているんです」

――正義感あふれる真面目な女性なんですね。
「そうです。いいことはいい、悪いことは悪い。といった感じ。365日24時間仕事のことを考えている。だから、私服のシーンがなくて。いつもスーツ姿です」

――そんな彼女に共感できる部分はありましたか?
「思い込んだら一直線なところや、脇目もふらず仕事に打ち込むタイプだというところ。でも私自身は30代になって、『ほどほど』というところを身につけようとしている最中です。リラックスして、視野を広くしてまわりを見渡す。それが30代のテーマのひとつです」

――ということは、以前は違ったということでしょうか?
「はい。仕事で忙しいと、すぐ気持ちに余裕がなくなって、いっぱいいっぱいになっちゃうんですよ。今も、いろいろとへこんでいるところです(笑)。でも30代は妥協せず、欲張って、やりたいことをやっていきたいと思っています」

――30代に突入されたんですね。
「ちょうど30歳になりました。よく女性の先輩方が『30代はもっと楽しくなるよ』っておっしゃっていたのが、本当なんだなぁと実感しています。お仕事でいただく役柄の幅も広がってきて」

――監督から、鶴田真純を演じるにあたって、具体的にどんなアドバイスがありましたか?
「とにかく『自分は正しい』と思って、まっすぐ突き進んでほしいと。それで、三上博史さん演じる、刑事の田川が揺らぐところがある。年上の方が相手でも、敬語を使わないという部分もあります。普段は、そういうことができないじゃないですか。三上さんに『ねぇ』とか(笑)。強気で、追及の手を緩めずにお芝居ができるというのは醍醐味ではあるなぁと」

――三上さんと過去に共演されたことはありますか?
「ここまでしっかり共演をしたのは初めてです。すごく素敵な先輩で、もっと早くお会いしたかったなぁと。ペットの話などざっくばらんにいろんな話をさせていただく中で三上さんからは『もう少し隙を作ったほうがいい』と重要なテーマをいただきました」

――隙がないように見えるということでしょうか!?
「みたいです(笑)。固めているつもりはないんですけど。だからこそ難しいのかな」

――最近、主婦役やお母さん役が多いですが、実生活でそうなるご予定というのは?
image「30歳になって、ウサギを飼っているぐらいですからね(笑)。『隙がない』って言われましたし。隙が作れるようになったら、そういう明るいニュースを取材してもらえるようになるかと思います」

――吹石さんは、清純な役や家庭的な役が多いですよね。色にたとえると『白』という感じの役が。
「20歳前後のころは、そう言われるのがすごくイヤで。『清純派って何なのよ!』って、変にこじらせていた時期もありましたけど、今は『清純派に見られるんだ、それも面白いな』と思えるようになってきました。役のイメージで見られるのも面白いですから。以前ほど見られるイメージに固執しなくなったというか。ある意味開き直った部分はありますね」

――以前、お会いしたときは、上品なお嬢さまという雰囲気を感じました。今は、何かそこからひとつ突き抜けた、深さのような部分も感じれらます。
「次のお仕事では、少し疲れた、都会の女性を演じます。イメージとは違った意外性のある役なので、その時はまたぜひ取材をお願いします(笑)」

――役でいろいろなことを経験していますね。ウェディングドレスを着るのも10回を超えたあたりから、数えるのをやめたと、おっしゃっていましたね。
「この前もウェディングドレス姿の撮影があったんですが、もう、何度も着ているので、どんどんたたずまいが上手になっていって。『これは座れないから立っていよう』とか、『裾は自分で持てるから大丈夫』とか(笑)。そういうことが上手になっていくのも、どうしたもんだかと思いました。でもこの仕事は楽しいです。いろいろな人生が経験できるので」

――吹石さんが思うこの作品の魅力は、どういうところにあると思いますか?
「人間の『業』の深さだと思います。犯罪自体はもちろん悪いことだけれども、その後ろにいる人間や、その人自身の人間性が必ずしも悪いとは限らない。『罪を憎んで人を憎まず』とは、まさにこのことだな、と作品を通して感じました。よかれと思ってやったことや、人をかばおうとする優しさが裏目に出ることもありますよね。サスペンス色がある5話を、たっぷり堪能していただければと思います」

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