image

食事は口いっぱいにものを詰め込み、家ではジャージでダラダラ過ごし、髪もボサボサ。AKB48のセンターとして活躍していた、前田敦子はどこへ? 映画『もらとりあむタマ子』で彼女は、地味で、ちょっとだらしない23歳の主人公、タマ子を演じている。山下敦弘監督との映画でのコンビは、『苦役列車』以来、2度目となる。
やました・のぶひろ★76年8月29日生まれ、愛知県出身。高校在学中より自主映画製作を始め、99年『どんてん生活』でゆうばり国際映画ファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリを受賞する。これまでの監督作に『リアリズムの宿』(03年)、『天然コケッコー』(07年)などがある。

映画『もらとりあむタマ子』

image

監督/山下敦弘
新宿武蔵野館ほか公開中全国順次ロードショー
(オフィシャルサイト)http://www.bitters.co.jp/tamako/
(c)2013『もらとりあむタマ子』製作委員会

 

――完成作をご覧になっての感想はいかがでしょうか。
image「この作品は最初、映画としてスタートしたものではなく、季節ごとに短編を撮って、ケーブルテレビで放映するという企画だったんです。それが映画になるというのは、不思議な気分です。映画を撮るときはもっと気持ちを構えるんですが、そういう状態で作り始めたわけではないので」

――釜山国際映画祭でも上映されましたが、反響はいかがでしたか?
「韓国のお客さんって、リアクションの大きい人が多いですね。あと、深読みする人が多い。そこを突くのか! と思ったのが『なぜタマ子という名前なんですか』という質問。以前、この映画と同じ脚本家との作品で、タマ子という女の子の話を考えたことがあって、その名残なんです。ですから、とくに深い意味はないんですが、韓国でその質問が出てきた。僕が返事に困っていたら、司会の人が『タマ子は、日本語で卵のこと。だから、まだ殻から出ない状態を表している』と言ってくれて、『それ、いいな』と思って」

――『苦役列車』に続き、前田さんを撮られて2作目になりますが、女優・前田敦子の魅力をお聞かせください。
「僕がお願いした演技を100㌫やってくれるんです。伸びしろはまだまだあるし、いろいろな役ができる人だと思います。今後にも期待したいですね。あっちゃんがもっと偉くなって、CMを撮るときなんかは、また呼んでほしいです(笑)」

――本作は、娘と父の物語ですが、母ではなく、父にした理由は何かあったのでしょうか?
「初めからこのテーマがあったわけではないんですよ。僕は、康(かん)すおんさんという役者が大好きで。前田さんと康さんという魅力的な役者さん2人で何を撮ろうかと考えていて、自然と父と娘の話ができたという感じです」

――康さんは、監督の過去の作品にもいくつか出演されていますね。
image「知り合ったのは10年以上前です。僕が最初に作った映画を観て、わざわざ会いに来てくださったんですよ。それですごく感動して、以来、ことあるごとに出演をお願いしているんです。何がいちばん好きかっていうと、まったくプライベートのことを話さないこと。この10年の間に4~5本、出演してもらっているんですが、ずーっと同じ距離感で。休憩中もほとんど話さないし、そのたたずまいがすごくよくて。最初と印象が変わらない人って、いないですよね」

――康さんのほかにも、中学生の男の子もすごく印象的でした。季節をまたいで撮影されたということで、彼の成長の様子も見られましたよね。身体が大きくなっていて。
「そうなんです。背が伸びちゃうわ、ニキビができちゃうわで、だんだん思春期の様子が出てきて。この作品は、いい人が集まりましたね」

――登場する料理もすごくおいしそうでした。
「四季を通しての作品だったので、食材で季節感を出そうと。それから前田さんの食べっぷりがすごくよくて、それを描きたかったんです」

――「ダメな人間を撮ると超一流」と言われている監督ですが、ダメさにこだわる理由は何かあるんでしょうか。
image「人間くさい人が好きというか、ダメな人のほうが人間らしく見えるでしょう? そういう人を撮ったほうが、映画が豊かになる気がするんです」

――監督はご自身の事をダメ人間だと思いますか。
「思いますね。社会人としての自覚はぜんぜんないし、学生映画から監督になっていますけど、気持ち的にはタマ子とあまり変わりがないというか。映画監督をしているとき以外は、似たような生活をしています」

――では最後に、作品のPRをお願いします。
「今まで見たことのない前田敦子、それが見どころのひとつです。何気ない日常って、じつはキラキラしていて、すてきなもの。そういった、普通の生活の中にある幸せを感じてもらえたらいいですね」

関連カテゴリー:
関連タグ: