田村正和、美空ひばり……男女を問わないレパートリーのものまねを披露するツートン青木が、俳優に初挑戦!ものまねの実力は広く知られるものの、役者となるとまったくの素人。「違う分野にも挑戦したい」という気持ちからオファーには快諾したものの、いざ稽古に入ってみると、戸惑いの毎日だという。
 
「いやぁ、大変です。初めのころは本当にくじけそうになりました。セリフは覚えられないし、頭に入れても、実際に舞台に立つと出てこない。そのたび、周りに迷惑をかけるし。プロの俳優さんの偉大さがわかりましたね」
 
音楽劇『誓い〜奇跡のシンガー〜』は、実際に活躍する車いすシンガー、濱田朝美さんの著書『日本一ヘタな歌手』を原案としたフィクション。原因不明の難病にもめげず、亡き母に誓った歌手への夢に近づくため、路上ライブで歌い続ける歌手、浜口朝子を土屋アンナが演じ、彼女を支える施設の理事長役として、ツートンが登場する。
 
理事長という役柄上、大人の貫禄が必要とされるが、その貫禄を出す演技の際、〝あの人〞のものまねになってしまうそう。
 
「どうしても、田村正和さんになってしまって(笑)。自分ではそのつもりはないんですけど、監督からは『そこはツートンさんの演技をしてほしいんです』って、かなり言われました。それをクリアするのが大変で。知らず知らずのうちに染みついているんでしょうね。今はだいぶ、改善されてきた気がします」
 
困難な壁を越えていこうとする、主人公・朝子の生き方が作品の要だが、ツートン本人にも、人生で大きな壁がいくつかあった。トラックの事故によって莫大な借金を抱え、自宅が火事で全焼したことも。それらを乗り越えられた原動力を聞いてみると……。
 
「やはり子供たちの存在でしょう。事故で2千500万円の借金を作ったのですが、ものまねの仕事が増えてきたこともあり、順調に返済を進めていました。ところがその矢先、隣の家が火事になり、我が家も焼けてしまって。古い家だったので、保険にも入ってなくて。家財をすべて買いそろえるのに、また借金。それもこれも、子供がいたからやってこられました。ひとりだったら、もっといい加減な人生だったと思います(笑)」
 
その子が今、ものまねタレント、シンガー・ソングライターとして活躍する青木隆治であることはご承知のとおり。俳優活動では、息子のほうが先輩だが、もしかして今後、俳優として親子共演があったりして!?
 
「どうですかねぇ(笑)。余裕が出てきたら、何かで絡みたいと僕は思っているんですけど。隆治はどうなのかなぁ」
 
また近々、長年の夢だった、歌手としてのメジャーデビューを果たすという!
 
「ものまねではなく、自分の声によるCDです。曲もある程度できています。俳優デビューも歌手デビューも50歳を過ぎてからになりましたけど、僕を見て、世の中の人たちは『こんな年齢だから』と、いろいろなことをあきらめないでほしいですね。自分の姿が、見ている誰かの励みになればいいなと思って、気合いを入れています」
 
劇中ではもちろん、ものまねを披露するシーンもあるようで、「その部分の稽古だけがスムーズに進んだ」と苦笑する。俳優、そして歌手として動き始めた、ツートン青木の第2幕に期待!
 
■プロフィール
つーとん・あおき★’59年6月27日生まれ、神奈川県出身。国鉄職員、トラック運転手などを経て、ものまねタレントに転身。『ものまねバトル21』(日本テレビ系)で優勝したことで注目を浴びる。男声・女声の2色の歌声と、抜群の歌唱力による正統派のものまねに定評がある。
 
■告知など
舞台
『誓い~奇跡のシンガー~』
 
東京公演/8月6日(火)~9日(金)、草月ホールにて。兵庫公演/8月16日(金)~18日(日)、あましんアルカイックホール・オクトにて。詳細はCNプレイガイドまで。http://www.cnplayguide.com/( PC・携帯)☎0570-08-9999

関連カテゴリー:
関連タグ: